内容証明郵便でブレイク !  第14号
               平成16年2月9日発行

             今回の目次
        □ 連帯保証契約と代筆
        □ エステのクーリング・オフ期間経過後の解約



    □ 連帯保証契約と代筆

 先週は、実に杜撰な連帯保証契約の現場を垣間見る機会がありました。
債権者は、某政府系のH公庫でした。

 依頼者の相談内容は、
「親戚の中小企業主から、どうしても連帯保証人になってくれとせがまれ、
印鑑を渡したが、公庫からこの後、何の説明もなかったし、
契約書も見ていない。最近、支払いに遅れが出て、
H公庫から連絡があったが、今から連帯保証人の解消が出来るだろうか」
というものでした。
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 印鑑を渡しただけで、連帯保証契約は成立してしまうのだろうか・・・・・。
これは少しおかしいと、法律家の端くれでなくても思うのが普通でしょう。

 公庫から契約書の写しを取寄せてもらい、
署名は自分でしたのかと聞きますと、違うというではありませんか。
 それはそうです。本人は印鑑を渡しただけで、後は何もしていないのですから、
署名は誰かが代筆したのです。
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 代筆の権限を与えたわけでないのですから、これは偽造になります。
つまり、無権代理による署名であり、連帯保証契約も無効になるわけです。

 ですから、署名は事後でも自署をさせ、
本人の保証意思の確認も厳密に行うべしというのが、
銀行実務の常識のはずなのです。
                 
 しかし、H公庫には、そおいう形跡が全く見られないのです。
これが連帯保証契約の実態なのかは俄かに判断出来ませんが、
それにしても、杜撰というべきです。
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 実は、依頼者の初めの相談というのは、
代筆の件ではなく、親戚の債務者に嘘があったので、
消費者契約法で取消出来ないかというものでした。
 連帯保証人は3人付けるといったのに、
実際は2人しか付いていないというのです。

 これも、もしH公庫が説明義務を尽くしていれば、
事前に嘘があることは分ったでしょう。
 このような第三者の不実の告知の場合も、
消費者契約法の適用はあるのですが、判例はまだありません。

 連帯保証人の3人か2人かは、連帯保証契約の重要事項ですから、
嘘を立証出来れば、取消出来るはずというのが、
私の考えですし、有力説も支持しています。
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 でも、今回のケースでは消費者契約法を持ち出さなくても、
代筆の無効を主張して、連帯保証契約の効力を否定出来ると思われます。
 H公庫が代筆の権限授与を立証するなんてことは、至難の業なのですから。

 連帯保証人の制度は、アメリカにはないのだそうです。
多分、日本でもこの事務が煩瑣になっているのでしょう。
 煩瑣をいいことに、非常なリスクを発生させていたわけです。

 なお、私のHPトップに、下記を追加致しましたので、
参考までご覧戴ければ幸いです。

    泣かない連帯保証人になる方法
  
  連帯保証契約の無効、取消、解約、合意解除



   □ エステのクーリング・オフ期間経過後の解約

 エステは、特定商取引法でいう「特定継続的役務提供」に当り、
中途解約権が認められています。
その際、解約金を支払う義務が生じますが、
解約金の上限は、2万円か残高の10%のいずれか低い方+それまで
受けた役務の対価です。

 さて、エステを中途解約したいと考える人というのは、大抵実際やって見たものの、
話とは違って期待はずれだったという人が多いでしょう。
 こおいう人は本来クーリング・オフで救済されてもいいはずの人なのです。
しかし、8日間なんてあっという間です。もう駄目か・・・・・・。
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 そんなことはありません。クーリング・オフを諦めるのは、まだ早いのです。
これからが、いよいよ隠し技です。

 エステの場合、業者は「概要書面」と「契約書面」の2通を交付する必要があります。
そして、クーリング・オフは、「契約書面」の受領の日から起算されます。
 もし、概要書面だけしか交付していないとしたら、いつでもクーリング・オフが出来るのです。
次に、契約書面を交付していたとしても、書面の記載内容に不備があれば、
やはり8日経過後でも出来ます
                 
 契約書面の記載要件は、特定商取引法や省令で細かく定められています。
よく読んで見ると、記載すべきことが落ちているということがあるのです。
 幸いにも裁判所は、消費者保護の立場から、書面の記載を実に厳格に
判断してくれています。
 書面不備で2年半経過後でも、クーリング・オフを認めた判例があるくらいです。

 ですから、8日経過しているからといって、泣寝入りはまだ早いのです。
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 最後に、クーリング・オフの魅力的な点は、
履行済の役務の対価を業者は請求出来ないということです。
その上、業者は損害賠償も請求出来ず、
商品の引取り費用も負担
しなければならないのです。
                  
 逆に、業者にとってクーリング・オフほど怖いものもないのであり、
法定書面はしっかりと作る必要があるということです。

 法定書面のチェックはどうも、という消費者や業者の方は、
是非当事務所まで、ご相談下さい。


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