内容証明郵便でブレイク !  第28号
               平成17年3月12日発行

             今回の目次
        □ 契約代理と示談交渉はどう違うか
        □ 裁判所関係文書の独占を解け!



   □  契約代理と示談交渉はどう違うか

 契約代理は行政書士の業務ですが、示談交渉となると一様に足踏みをします。
示談は和解の一種であるから、弁護士と司法書士の業務になるというのです。
 しかし、示談書の作成という局面で見れば、
示談書作成の前提となる交渉ないし協議は、契約代理と非常に酷似しています。
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 一体、行政書士は示談交渉が出来ないとされる根拠は、何なのでしょう・・・・。
一般に争訟性のある事案が行政書士の法律事務ではないからとされています。
つまり、示談となるケースを全て一律に争訟性がある事案と見なしているのです。

 争訟性の本来の意味は、訴訟によって解決すべき程度に熟しているということです。
しかし、裁判外で話し合って示談となる事案というのは、
途中から争訟性が失われたからこそ示談が成立したのです。
                 
 このように生の事案では争訟性が流動的なのであって、
争訟性のある・なしで一律にスバッと分類出来ないのが本当の姿なのです。

 とすれば、示談交渉から行政書士を外す為の先の論拠は、
破綻していると言わざるを得ません。
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 そこで、もう少し具体的な事例で検討して見ます。
 「和牛売買飼養委託契約という現物まがい商法があります。
業者から和牛を買って、そのまま飼育を委託し、
満期が来ると業者は買戻すというものです。
顧客に返還されるのは、買戻し時の売値になり、
元本保証ではありませんが、毎年7%の配当があります。」

 さて、業者は満期が来ると色々理由を付けて契約更新を勧められ、
元本割れでもいいと催促しても一向に応じないという相談がありました。
 内容証明郵便で請求しても回答がないので、
委任状を送って担当者と交渉してみることにしました。
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 話は簡単でした。元本の15%減でよいなら1ケ月後に返還するというものでした。
依頼者もそれで納得されたのは言うまでもありません。
元本の15%減でも、これまでに配当はあり、年3%位の利回りはあるからです。

 そこで、これが示談交渉になるのかです。
争訟性という程のものはありません。
ただ、業者は元本を手元にいつまでも預けて貰いたいだけであり、
契約条項を巡って対立があるわけではありません。

 預託法に違反していることくらいは業者も知っているはずで、
よく分からない牛肉市場の低迷等をくどくどと説明して、
返還請求の意欲をなくさせようという腹なのです。
 私が業者に伝えたことは、「元本保証でないことは承知している。
今売却すれば幾らなのか」といった程度のことです。
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 私の感想では、これは示談でもなんでもなく、
債権内容に関する一部変更の合意であり、
債権変更契約の締結であるというものです。

 とすれば、これも契約代理の業務に含まれるはずです。
結局、示談交渉と言っても、
実質は契約代理と何ら変わらないものがあるのです。

 示談交渉は行政書士の業務でないと一律に思う必要は全くないというのが
私の考えですが、どうでしょうか・・・・・。


   □ 裁判所関係文書の独占を解け!

 家庭裁判所で扱う事件に、甲類審判事件というのがあります。
相続放棄の申述、遺言書検認、遺言執行者選任、後見開始の審判、
失踪宣告といったものがこれです。

 甲類審判事件の特徴は、争いがなく、訴える相手も存在しないことです。
その点では、法人登記とか許認可申請と類似しています。

 しかし、現在のところ書類作成は弁護士と司法書士の独占業務となっています。
今日、行政書士は業務の拡大により相続、成年後見その他で、
家庭裁判所との接点が増えています。
業務に付随してこれらの文書作成が発生しています。

 私は思うのですが、行政書士が代行作成して全く問題がないのに、
いつまでも規制しているのは、依頼者の利益を害する以外の何者でもありません。
法律が実態と乖離しているのに、そのまま放置されている典型的な例です。
 既得権益を保護するだけの法律は、
即刻改正されるべきという思いを強く持つ昨今です。

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