内容証明郵便でブレイク !  第2号
               平成15年8月6日発行

             今回の目次
        □ 内容証明郵便で債権回収が出来るの?
        □ 行政書士の代理権について
        □ お知らせ



 □ 内容証明郵便で債権回収が出来るの?

 内容証明郵便の使い道で、誰でも決まって真っ先に挙げるものがあります。
クーリング・オフによる契約の解除通知です。
 8日とか20日以内に解除通知を発信すると、
無条件で契約の解除が出来るというものです。
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 それはよいとしまして、代金を既に支払っていた場合、
解除通知だけで代金は本当に全額戻って来るのでしょうか・・・?
                      
 クーリング・オフの要件は充たしていても、相手が悪徳会社なら
それを否定したり、色々理屈を並べて応じない可能性があります。

 特に、慣れていない素人が葉書や電話で連絡したり、
自分独りで内容証明郵便を書いたりすると、起こりがちなことです。
 折角内容証明郵便を苦労して書いても、代金の返還がなければ、
何の意味もありません。
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 代金回収に不安があると思った方は、
行政書士などの専門家に直ぐ相談すべきです。
                      
 素人の人は、文面上でなかなか強いことを書けないものです。
そんなことを書いてもいいのだろうかとか、一般社会の普通の感覚が逆に
プレーキになって、ついついおとなしい表現になってしまうのです。

 会社は少しでも儲けようと活動いているわけですから、
代金の返還などということは、本来的にしたくないのが当然なのです。
 ですから、表現がストレートでないと、嘗められてしまうのです。
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 その一方で、会社は裁判沙汰になるとか、
法律家などの第三者が関与することを嫌う傾向にあります。
 裁判できちっと解決することは、決しておかしなことではありませんが、
そこまで面倒なことはしたくないという体質が、まだ根強いのです。

 だとすれば、代金を回収する方としては、逆にこの弱点を大いに
突けばいいのです。
 例えば、「もし本状到着後7日以内に入金がない場合には、
法的手続きを取らせて戴きますのでご了承下さい」などと書くと、
ぐんと反応が違ってくるわけです。
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 「内容証明郵便で相手方にプレッシャーを与えよ」と、よくいいますが、
そのことをいっているのです。
 クーリング・オフの要件を充たしていて、その証拠もちゃんとある場合ですと、
訴訟になったら会社が負けるに決まっています。
 負けると判っていて訴訟まで待つなんてことは、普通の会社はしませんから、
代金を返還して来る可能性は高くなります。
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 最近、巧妙な手口の悪徳商法が大手を振るって横行しています。
騙されたと気づいた時には、とっくにクーリング・オフ期間を過ぎていた
ということも多いかもしれません。
 この場合は、もう諦めるしかないのだろうか・・・・・・?

 いや、そんなことは決してありません。

 まず、消費者契約法というのがあって、
不実告知、断定的判断の提供、
不利益事実の故意の不告知、不退去・監禁
という4つの要件のどれかに該当すれば、
気づいてから6ケ月以内又は契約から5年以内なら、契約の取消が出来ます。
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 次に、これに該当しない場合でも、民法で出来る場合があります。
つまり、錯誤・公序良俗違反なら無効を、詐欺・脅迫なら取消を、
あるいは債務不履行があるなら契約の解除を、堂々と主張出来ます。
 さらに、相手方に不法行為があれば、損害賠償の請求さえ出来ます。

 ここまで来ると、かなり法律的な構成の検討が必要ですので、
専門家に依頼するべきです。
 拗れたケースでも、先に書いた理由から、まだ内容証明郵便1発で
解決出来る可能性は残されています。
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 要は、内容証明郵便の文面をいかに書くかが全てです。
行政書士は、それに職業生命のすべてを賭けているといっても
過言ではありません。
 ですから、是非相談して見て下さい。


  □ 行政書士の代理権について

 行政書士に、昨年の7月から代理権が付与されています。
これにより、単なる代行者の地位から脱して、
代理人として意思表示が出来る主体的な地位を獲得したのです。

 ところで、この行政書士の代理権の範囲については、まだ色々解釈があります。
消極説の人は作成代理に留まるといい、
一方積極説の人は契約代理であり、又締結交渉も出来るといいます。

 行政当局の担当者は、「契約代理の趣旨であり、争いのない事案については、
そもそも弁護士や行政書士でなくても、前から誰でも出来たのだ」と、
回答をしています。
 ですから、契約代理だとすることには、問題はないと考えられます。
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 では、契約の締結交渉(示談を含む)も出来るのでしょうか・・・・・?
 
 弁護士法72条の「法律事務」に抵触するからと、否定的にいう人がいます。
しかし、同条の「法律事務」とは法的紛争事件(=争訟性のある事件)であると、
限定的に解するのが現在最も有力です。

 であるなら、法的紛争事件に至っていない事案なら、
行政書士が業務として行うことは出来るはずです。
 その根拠は、憲法22条の職業選択の自由(営業の自由)に求められます。
 つまり、本人の委任(委任状が必要)があれば、出来るのだということです。
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 私が妥当と考える積極説の立場を、ここで整理して見ます。

・行政書士は法定業務として契約代理が出来る。
   契約代理とは、契約書を代理人として作成するのみならず、
  本人に代わって相手方と契約内容について協議したりすることを意味します。

・法定業務ではないが、本人の委任により、契約締結の交渉も出来る。
  ただし、法的紛争事件でないものに限られる。
   法的紛争事件でないものとは、当事者間に争いがないこと、
  つまり主張の対立がなく、訴訟に移行しなくても話合いで合意に達し得る事案
  ということです。
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 正直のところ、行政書士の代理権の範囲については、私も随分悩みました。
しかし、神奈川県行政書士会の有力な先生である小田恭平研修部長
(現神奈川県行政書士会会長)の講義を聞いて、氷解致しました。

 先の積極説の立場は、実は小田先生から初めてお聞きした考え方なのです。
いまだ、行政書士に十分浸透しているとはいい難いところがあるのですが、
やがて定着するであろうと確信しています。
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 さて、積極説の立場に立ちますと、
行政書士は単に内容証明郵便を作成・送付するだけでなく、
委任により代金の回収や示談の交渉にも関われるわけです。

 つまり、事案が本当に解決したといえるところまで、
行政書士に業務として一任出来るということです。
 実際、ここまでやれないのだとしたら、
貴方の身近にいる街の法律家などとは、とてもいえません。

 さらに、交渉では解決せず、調停とか法的手続きを取るしかない場合でも、
必要な情報の提供などで相談に乗り、サポートすることも出来ます。
 簡易裁判所の許可が得られれば、行政書士が訴訟や調停の代理人にだって
なれるのです。
  ※ この辺りは、私のホームページに詳しい解説がありますので、
    ご参照下さい。
         http://lantana.parfe.jp/gyosey5.html

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 行政書士は、代理権を獲得して、業務の守備範囲がぐんと広がりました。
もう昔の代書屋とは違うのですから、
これからはどんどん利用して欲しいものだ思います。

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  □ お知らせ
 私のホームベージに、「 資本金1円で会社を立ち上げる! 」を追加致しました。
 是非ご覧戴ければ幸いに存じます。
             http://lantana.parfe.jp/hogin01.html


         発行者 : 行政書士 田中 明 事務所
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