内容証明郵便でブレイク !  第30号
               平成17年6月3日発行             

             今回の目次
        □ マルチ商法がますます巧妙化
        □ 特定商取引法関連の法改正について



□ マルチ商法がますます巧妙化

 マルチ商法という魔物が未だに跋扈しているようです。
先月当事務所に2件のクーリング・オフ依頼がありましたが、
何れもマルチでした。

 もっともマルチという言葉は、禁句なのかどこにも見当たりません。
しかし、システム概要書とか商品購入売買契約書をよく読んで行くと
連鎖販売取引の記載があり、マルチだと分かるのです。
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 1件の方は、代理店形式のマルチで、契約締結から1年が経過していました。
チラシを2万部も配布して見たものの、全然売れない。これまで加盟金、チラシ代で50万円
支出している。騙された。何とか50万円を取り戻したい・・・・・。

消費者生活センターに相談して内容証明郵便でクーリング・オフをしたが、
全く相手にされず泣き寝入り寸前でした。
業者の言い分は、単なる代理店登録だからクーリング・オフ出来ないというものです。

 しかし、業者には重大な手落ちがありました。
システム概要書は交付しているものの、契約書面を交付していないのです。
 これなら20日以内という期間限定には掛かりませんから、
無期限にクーリング・オフが出来ます。

 ということで、連鎖販売取引であること、つまり加盟金は特定負担であり、後続代理店が
支払うチラシ代金の一部がマージンとして貰らえるのであるから、マージンは特定利益だと
いうことを諄々と説明した内容証明郵便を再度出すことになりました。
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 2件目の方は、喫茶店に誘われて30万円の健康機器をクレジットで買わされたという
ものでした。商品が届いて中を開けると商品購入契約書が入っていて、それを読んで
マルチだと分ったいう。
商品はチャチなもので、30万円の価値があるとは思えない代物でした。

 商品の受領からまだ20日以内ですからクーリング・オフが出来ます。
早速業者とクレジット会社に内容証明郵便で通知しました。
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 クレジット会社が準大手でも安心は出来ません。
業者が悪徳だと分って提携しているのです。
業者にとってクレジット会社と組めば信用が高まるし、現金決済は魅力である。

 一方、クレジット会社は業者を使って売上を伸ばせるし、クーリング・オフを行使されるの
はレアケースなので、提携を断るほどのデメリットもないのである。

 そんなことで両者は腐れ縁で結びついているのである。
クレジット会社もしたたかで、中にはマルチは商行為だから支払停止の抗弁の適用が
ないとか、色々うまいこと丸め込んでクレジット代金を請求し続ける会社もあります。
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 クレジット会社が業者は悪徳商法だと知っていてクレジット代金を請求するのは、
信義則上許されないというのが判例です。

 連鎖販売取引の場合、店舗を持たない個人が契約した場合、
特定商取引法の適用があり、
支払停止の抗弁も当然にクレジット会社に主張出来るのです。

 また、節電気商法のように商行為になる場合であっても、
信義即で請求を拒否出来るのです。
 
 内容証明郵便も最近では、判例やクレジット契約の実態をよく理解して、
相手にぐうと言わせる内容にしないと効果が期待出来なくなって来たのです。


  □ 特定商取引法関連の法改正について

 マルチ関連では

 ・ 商品の引渡しを受けてから90日以内に限り商品が未使用の場合、  
  解約して返品  が出来ることになりました。当然代金の返還が受けられます。
  ただし、マルチの組織に入会後1年経過前に限られます。

 ・ 次に虚偽説明などの違法勧誘行為により契約させられた場合、
  契約の取消が出来ることになりました。

 ・ そして、クレジット契約を利用している場合には、
 上記の解約・取消を支払停止の抗弁としてクレジット会社に
 主張出来ることになりました。
         施行は、平成16年11月11日です

  マルチ商法の勧誘の実態は、凄まじいものがあると聞きます。
特設会場に集めて如何に儲かるものかを具体的な数字を上げて説明したり、
うその成功話をあたかも本当のように聞かせるらしい。

 元々金が喉から手が出るほどに欲しい人が集まっていますから、
催眠術に掛けられたように自分もそうなると簡単に錯覚してしまうらしい。

 まことに人の心理を突いた夢を見させてその気にさせる商法なのです。
しかし、いざやって見るとさっぱり売上は立たず、騙されたと気づくのです。

 うまい話に乗るなという警句は、マルチの為にあるようなものです。

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