内容証明郵便でブレイク !  第37号
               平成17年12月20日発行             

             今回の目次
        □ 二つの最高裁判決〜敷金返還と過払い返還に関する判決
        □ もう割賦販売法の改正しかない



    □ 二つの最高裁判決〜敷金返還と過払い返還に関する判決

 まず、平成17年12月16日の賃貸住宅明渡し時の補修特約に関する判決です。
原審の大阪高裁判決では、自然損耗分の補修を含む特約があったとしていたのに対し、
最高裁は契約書に具体的な記載がなかったとして、原審を破棄差戻しとしたのです。

 原状回復義務に自然損耗分は含まないという判断は、
最高裁初の判断だそうです。

 ただし、注意すべきは、修繕費に自然損耗分を含めるような特約を設けても、
契約自由の原則から許されるとする原審の考えを、
是認出来ないとは言っていないことです。
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  実は、下級審判決には自然損耗分を借主負担とする特約を、
消費者契約法に照らして無効としたものがあります。
今回の最高裁の判断は、ここまでは踏み込んでいないわけです。

 一方、明確な特約があれば合意があったと認めるという考えは、
これまでに下級審の判決の中にあった考えで、特段新しいものではありません。

 しかし、この考え方で行くと、悪徳な大家が善良な借主を犠牲にする恐れがあるのではと、
私は危惧します。
 つまり、借主は賃貸借契約書を普通よく読まないで契約することが多いのです。
自然損耗分も借主負担と明記された契約書が増えないかと心配になるのです。

 結局、今回の最高裁判決は注目された割に、
それほど画期的な判決ではなかったというのが私の感想です。
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 次に、平成17年12月15日のサラ金のリボ方式に対する過払い返還の判決です。
リボ方式というのは、カードでATMから何回でも限度額まで借りられ、
返済額も自分で設定出来るというものです。

 サラ金の利用者は、普通この方式で利用していると思います。
争点は、返済時に17条書面の交付があり、
貸金業法でいうみなし弁済が認められるかということでした。

 最高裁は、リボ方式で確定的返済期間、返済金額の記載が不可能としても
これを準ずる記載、つまり最低返済額、経過利息の記載は可能であると認定して、
業者の交付した「領収書兼ご利用明細」にはその記載がないとして、
17条書面の交付がなかったと判断したのです。
 
 下級審では、既に17条書面の要件を厳格に解釈する判決が出ており、
今回の最高裁判決はそれを是認したことになります。

 今全国で起こされている、或いはこれから起こされるであろう過払い返還訴訟で、
ほとんど全て業者の敗訴となるお墨付きを最高裁が与えた判決として重みを持つものでした。


     □ もう割賦販売法の改正しかない

 クレジット会社とサラ金のどちらが儲かっているでしょうか。
それはもちろんサラ金です。
サラ金大手になると経常利益が、1000億を越えるところもあります。
クレジット会社大手でも、サラ金の1/10程度なのです。
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 とはいえ、100億もあれば立派な大会社です。
さて、クレジット会社の利益の基盤となるものは、
全国に巡らした加盟店網です。

 加盟店がせっせと顧客を開拓し、クレジット契約の締結手続きも代行してくれます。
クレジット会社は加盟店に一括で立替払いをし、
顧客には代金にクレジット手数料を上乗せして毎月請求します。

 普通は自動引落しですから、クレジット契約が締結されると、
後は黙っていても入金されてくる仕組みです。
考えて見ると、クレジット会社というのは、まるで自動集金装置のようです。
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 貸倒れはあるにしても、3%とか4%とかの低いレベルです。
ですから、クレジット会社としては加盟店を増やしていけば儲けも自然に増えていく、
景気の波をあまり受けない実にいい商売なのです。
 
 さて、私が今日言いたいのは、こんなにいいクレジット会社が、
顧客の犠牲の上に得をしている部分があるということです。
 もっと具体的に言いますと、
支払停止の抗弁の適用がないクレジットの顧客が相当数いるのです。
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 それは、1、2回払い(マンスリークリアという)の顧客と商行為の顧客です。
マンスリークリアで一番被害に遭っているのが、
英会話教師派遣などの特定継続的役務のクレジット顧客です。

 まだ役務が8割も残っているのに、業者が倒産すれば
残りの役務も代金返還も受けられないのです。
 商行為では実質的に消費者と変わりない零細業者が、被害に遭っています。
業者に騙されて契約しているのに、クレジット代金は払い続けねばならないとは・・・・。

 これらの消費者が法の保護の下にないというのは、明らかに法の欠陥です。
割賦販売法の早急な改正を、私は声を大にして叫びたいのです。
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 私はホームページに、次のコラムを載せました。是非ご欄下さい。

   割賦販売法を、今直ぐ抜本的に改正せよ!

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