[ コーヒーブレイク ] [時間的余裕のある方のみお読み下さい]
<余談になりますが>
行政書士の代理権を狭く解釈して、行政書士は契約締結や示談交渉まで出来ないという人がいます。
弁護士法72条の解釈との絡みもあって積極説、消極説が入り乱れています。
消極説の人は、文理解釈をして書類の作成代理にとどまるといいます。
しかし、条文には「代理人として」と明記されているのです。 民法でいう代理権そのものが当然に予定
されていると考えるのが当然ではないでしょうか。
そこで積極説の人は、委任状を貰えば民法の代理権の権限により契約締結も当然に出来ると考える
のです。 その根拠は、憲法22条の職業選択の自由(営業の自由)にあります。
衆議院法制局の某担当者も「作成代理でなく契約代理であるといい、現行法上、争訟性のない契約等の
代理は弁護士や行政書士でなくても誰でも出来る」と述べています。
この説明こそまさしく積極説そのものだと思われます。
さて、弁護士法72条の解釈との絡みの問題です。 私は法務省と同じ「法律事務」を法的紛争事件と
解釈する立場です。 つまり、法的紛争事件にまで至っていなければ行政書士も業務として出来る(報酬
を請求出来る)と考えます。
しかし、これにも考えが色々あります。 日弁連は未だに「事件性不要説」の立場に立っています。
かと思えば、法的紛争事件でも行政書士は正当な業務行為として出来るのだと云う学者もいます。
つまり、裁判所や法務局も「官公署」なのだから、これらに提出する書類の代行作成も出来る筈だというの
です。 事件性という概念がそもそも曖昧であり、罰則のある規定の解釈にこんな曖昧な概念を持ち込
むこと自体が罪刑法定主義の精神に反するとしてこう主張するのです。
実に意見が錯綜しています。 こんな神学論争のような議論が起こる最大の理由は、弁護士法72条が
現状との間で齟齬を来たしているからだと思います。 弁護士を取り巻く環境が大きく変貌したのです。
弁護士以外の法律専門職がいつのまにか実力をつけその専門分野で弁護士を凌駕している部分もある
といわれます。
そもそも、弁護士法第72条の目的は、事件屋や示談屋といった三百代言が跋扈して公平な社会正義
の実現が妨げられるのを阻止するにあります。 しかし、隣接法律専門職種の人達はそれぞれの士
業法で厳しく律せられ、プロフェッショナルとしての倫理観を備えた法律家です。
近時になって日弁連は、隣接法律専門職種との調整は極めて困難だと認めるようになりました。
今ここに弁護士法第73条に関する最高裁判決(平成14年1月22日があります。
<事案>
ゴルフ会員権仲介業者・販売業者が業として預託金据え置き期間経過後のゴルフ会員権を買取り、預託金
返還請求の訴訟を提起したのは、弁護士法73条に違反するか。
※ 弁護士法第73条の趣旨 →弁護士でない者が業として他人の権利を買受て実行するのを禁止。
<判決要旨>
みだりに争いを誘発・助長する恐れがなく、社会的経済的に正当な業務の範囲内にあると認められ
る場合であれば、弁護士73条に違反せず、上記 行為は許される。→ 判決の詳細
上記判例は弁護士第73条に関するものですが、弁護士第72条の解釈にあたりキーとなる判例とされて
います。 としても、社会的経済的に正当な業務の範囲内かどうかということは判例が出て見ないと分
からないところがあります。
その意味では今もってグレーゾーンであるというのが真実なのかもしれません。
現行法のままですと、行政書士その他の隣接法律専門職種の職域の問題(どこまでが業務範囲なの
か?)がいつまでも解消しません。
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