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    契約不適合責任をこうやって請求せよ

  令和2年4月1日(新民法施行日)以降に成立した売買契約や請負契約などには、新民法が適用されます。
従来の瑕疵担保責任は、内容的にかなり大きく変更されて契約不適合責任として規定されています。

  以下では瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いを整理致しました。

  旧民法の瑕疵担保責任では、売買契約や請負契約などの目的物に「隠れた瑕疵」(買主の善意・
無過失が要件
)があった場合で契約の目的を達せられない時、事実を知ってから1年以内に契約の解除
が出来ました。

  また、契約の解除が出来ない時は、損害賠償「信頼利益(登記費用などの準備費用)、売主の無過失
責任)の請求のみが出来ました(旧民法第570条、第566条)。


  しかし、任意規定(契約書に記載がない場合に法律の規定に從うという意味。 つまり、契約書で法律
より短くも長くも設定可能で、こちらが法律より優先されることになります)なので、

売主が個人の場合には、契約解除出来る期間を「引渡後3ヶ月以内」とする一部免責や「売主は瑕疵
担保責任を一切負わない」とする全部免責の契約条項も有効でしたし、

売主が事業者の場合には、消費者契約法第8条により消費者に不利な特約は無効とされ、宅建業法や
住宅瑕疵担保履行法などの特別法により担保期間は伸長されています。


  ところで、この瑕疵担保責任では、「瑕疵」の定義があいまいで(明確な基準やルールが条文に書かれて
いない)、部品の交換や不足部品の補充又は部分的修繕により完成品になるという場合でも瑕疵補修請
求が出来ないなど、使い勝手の悪さが指摘されていました。


  そこで、新民法では、瑕疵担保責任という概念を廃止し、契約不適合責任(債務不履行責任の一
種)とした
のです。

  つまり、契約不適合責任では、契約書に記載された目的物の種類、品質、数量と給付された目的物が
適合しているかどうかが責任の判断基準となり、隠れた瑕疵の有無は全く無関係になったのです。


  その結果、従来の契約解除、損害賠償請求権(売主の過失が要件になった)の他に
追完請求権、代金減額請求権が追加されました




  契約不適合責任の規定に基づき、買主(注文者)に認められる権利は、以下の4つです。
 
  なお、請負契約の注文者がこれら4つの権利を行使する為には、注文者がその不適合を知った
時から1年以内
(任意規定なので、契約書に行使期限の記載があれば、それに從います) にその
旨を請負人に通知していること
が必要です(新民法第637条1項)。

  ただし、仕事の目的物を注文者に引渡した時(引渡しを要しない場合は仕事を終了した時)、請負人
が不適合について知っていたか重過失により知らなかった場合には、前項は適用されません。
                                (新民法第637条2項)

1 追完請求権・・・・改正最大のポイントです。

    「目的物の修補」、「代替物の引渡し」、「不足分の引渡し」の3つです。
                     (新民法第562条1項)
  
     ただし、売主は買主に不相当な負担を課すものでない時は、売主はその内のどれか一つを
   選択出来ます(新民法第562条1項但書)。
              
     売主の責任は無過失責任ですが、買主(発注者)に帰責事由のある不適合の場合には、
   追完請求が出来ません(新民法第562条2項)。
   

2 代金減額請求権・・・・改正最大のポイントです。

     売主が追完を催告して催告期間内に追完しない時、その不適合の程度に応じて
   買主は代金の減額を請求出来ます (新民法第563条1項)。

     ただし、追完が不能、追完拒絶の明確な意思表示、特定の日時又は一定の期間内に
   履行しなければ契約の目的が達し得ない場合、催告しても追完の見込がない場合において、
   追完がないままその時間が経過した時は、無催告で請求出来ます(新民法第563条2項)。

     また、不適合が買主に帰責事由がある場合は、請求出来ません(新民法第563条3項)。
 
     なお、買主が代金減額請求をすると契約の効力を認めたことになる為、契約解除は出来ない
   と解されます。


3 損害賠償請求権

     債務不履行責任(売主の帰責性が要件)である為、買主は売主の過失を立証して請求
   します(新民法第415条)。

     例えば、契約書に雨漏りがすると記載されていれば、雨漏りに関する帰責性が売主にない
   ことになり、買主は損害賠償請求が出来ません。
  
     買主が善意・無過失であることは要件ではなく、請求の範囲には履行利益(転売利益や
   営業利益)が含まれます。


4 契約解除権

     当事者の一方がその債務を履行しない場合、相当の期間を定めて履行追完の催告をして、
   その期間内に履行がない時は、相手方は契約を解除出来ます。
     ただし、不履行が社会通念に照らして軽微である時は出来ません(新民法第541条)。

     相手方の故意・過失は要件とされていません。

     この結果、契約目的の達成が可能であっても不履行が軽微でない場合には、契約を解除出
   来る余地が生じることになります。


     また、無催告解除は、全部履行が不能、拒絶の明確な意思表示、一部履行拒絶の意思
   表示があった場合で残存する部分のみの履行では目的が達し得ない時に認められます
                                  (新民法第542条)。

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