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高齢者の財産はこうして守れ!
不動産の譲渡、生前贈与、通常の贈与と税金
高齢者が保有する不動産を処分したり又は生前贈与する場合に、知っていて絶対損をしないのが税の知識です。
以下で、税金関係の知識を整理致しました。
1 不動産の売却と譲渡所得税 長期譲渡所得か短期譲渡所得かで税率が大きく違います。 長期譲渡所得 →譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年超の場合 短期譲渡所得 →譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の場合 相続した不動産を譲渡する場合は→ 被相続人の所有期間が承継されます。 長期譲渡所得の税率 → 所得税が譲渡所得×15%、 住民税が譲渡所得×5% 計20% 短期譲渡所得の税率 → 所得税が譲渡所得×30%、 住民税が譲渡所得×9% 計39% です。 ただし、以下の場合には譲渡所得から特別控除が認められており、控除後の残金に対し 課税されます。 特別控除額は イ 土地収用法などで土地建物等を収用された場合 5000万円 ロ 居住用不動産を譲渡した場合 3000万円 ハ 特定住宅地造成事業などの為に土地等を譲渡 1500万円 結局、高齢者が保有する不動産の価格は平均3千万円前後ですから、居住用不動産である限り 非課税となる可能性が高いと思います。 なお、課税される場合は、譲渡所得(収入金額−必要経費)に対して課税されます。 ※ 譲渡 →交換、収用、競売、現物出資、代物弁済、法人に対する贈与なども含まれます。 必要経費とは取得費と譲渡費用の合計をいいます。 参考 →必要経費とは何か |
2 親から子への生前贈与 参考→生前相続Q&A 「65歳以上の親」から「20歳以上の子」に生前贈与した場合 平成27年1月1日以後の贈与については、「60歳以上の親」から「20歳以上の子と孫」 (子が亡くなっていて推定相続人になっている孫を含む)に改正されています。 → 相続時精算課税制度を選択すると、特別控除額2500万円(累計額)を超えない限り 贈与税は非課税となります。 一度選択すると、その後の贈与は全て相続時課税制度が適用され、暦年課税へ の変更は出来なくなります。 相続開始時までの贈与が、累計額で2500万円になるまで非課税となります。 前年に特別控除額を使用した場合、2500万円から使用した額を控除した残額が 特別控除額となります。 2500万円を超えた場合でも超過額に対する課税は一律20%です。 ただし、親が死にその子が相続する際、相続財産と生前贈与分の合計額に対して相続税が 掛かります。 ※ 介護してくれている息子の嫁を養子にすれば、生前贈与が可能になります。 遺言書によってしか出来なかったことが、親がまだ元気な内に可能となっています。 参考 →相続税対策としての孫への生前贈与について |
3 居住用不動産の配偶者への生前贈与 1年間に贈与した額が2110万円(基礎控除110万円+配偶者控除2000万円)以内であれば、 贈与税は非課税となります。 ただし、不動産取得税は掛かります。 <2000万円の配偶者控除が適用される為の要件> ・贈与の時点で婚姻期間(婚姻の届出日が起算日)が20年以上あること ・居住用不動産(居住用の土地、借地権、家屋)又は居住用不動産取得の 為の金銭の贈与 ・贈与の年の翌年の3月15日までに贈与を受けた居住用不動産又は贈与 を受けた金銭で取得した居住用不動産に実際に居住しており、その後も 引続いて居住する見込みであること。 ・過去において同じ配偶者から贈与税の配偶者控除の適用を受けていないこと。 ※ なお、2と3で非課税となる場合でも税務署への申告は必要です。 |
4 通常の贈与と贈与税 贈与税が平成27年1月1日から改正されました。 →贈与税の改正について <現在の贈与税> 相続時精算課税制度を利用しない場合です。 基礎控除額110万円を引いた後の金額 税率 控除額 〜200万円以下 10% - 200万円超〜300万円以下 15% 10万円 300万円超〜400万円以下 20% 25万円 400万円超〜600万円以下 30% 65万円 600万円超〜1000万円以下 40% 125万円 1000万円超〜 50% 225万円 A 以下の場合には贈与税の対象になりますので注意が要ります。 ・私が受取人の生命保険の保険料を父が支払っていた場合のように、保険金の受取人以外の 人が保険料を負担していた場合の生命保険金を受領した場合 ・高額なダイヤなどを著しく低い価格で譲渡された場合 ・親から借りた住宅購入資金を返済免除された場合のように債務免除又は大幅なカットを 受けた場合 ・定期金の受取人以外の人が掛け金を負担していた場合の定期金を受領した場合 ・1年あたり110万円を10年間贈与する契約をした場合、「有期定期金に関する権利」の贈与と なり毎年の110万円は課税対象になります。 ※毎年110万円を贈与し非課税とする為には、毎年贈与契約を締結する必要があります。 B 以下の場合には、非課税財産とされます。 ・法人から贈与により取得した財産 →ただし、所得税の対象にはなります。 ・自宅の購入資金(頭金など)の直系尊属からの贈与 →省エネ・耐震対応住宅の場合は1200万円(それ以外の住宅は700万円)まで非課税に なります。 ただし、平成26年からは1000万円(それ以外の住宅は500万円)までに なります。 平成26年12月31日まで。 ・親が扶養家族である子や親に対し与える通常必要と認められる生活費、教育費 ※ ただし、余った資金をへそくりにして株式を取得すると、株式取得資金は贈与となります。 ・1年間に一人につき与える現金110万円までは非課税です。 ※ 預金移動が贈与となる為には、受け取る預金を管理・支配・処分する権利が受け取る側に あることが必要です。 所有権の移転のない家族間の預金移動は、「借名預金」であり贈与とはなりません。 ・社会通念上相当と認められる個人から受けた香典、花壇代、年末年始の贈答 ・相続で財産を取得した人が同じ年に被相続人から贈与された財産 |