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          こうやって支払停止の抗弁をせよ!
                  ~ クレジットの契約構造・支払停止の抗弁事由・商行為 ~


 
 悪徳エステの中途解約はこうやってせよ

 
エステティック(エステ)とは、「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体形を整え、又は体重を減ずる
ための施術を行うこと」をいい(政令別表第5の1)、
具体的には、エステティックサロンにおける美顔、全身美容、痩身、体形補正、脱毛を差します。

 エステ契約の利用者は、クーリングオフ期間経過後に無条件で中途解約が出来jます。  しかも、
その際にエステ業者が請求出来る
損害賠償金は、以下に制限されています(特商法第49条2項)。


 
役務提供開始前であれば
     →  政令16条に定める「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」(別表第四第4欄)
        および法定利率年5分の遅延損害金の額を超えない範囲 

 
役務提供開始後であれば
     →  提供された特定継続的役務の対価に相当する額および「契約解除によって通常生ずる損害
       の額」として政令15条で定める金額(別表第四第3欄)
       
およびそれに対する法定利率年5分の遅延損害金の額を超えない範囲


    これを法定限度額といいます。

<エステ契約を中途解約した場合の法定限度額>    
                                              
 
a  役務提供開始前の場合  

         2万円  
(政令16条に定める「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」です)
           +
         年5%の遅延損害金

    
 ※ 2万円は契約締結費用および履行費用として通常必要とされる合理的な範囲の金額として
       規定されたものですから、入学金、入会金、施設費等いわゆる初期費用を徴収する場合、
       必要性と合理性が証明されない限り2万円を超える金額を徴収することは出来ません。




 b  役務提供開始後の場合  

          2万円又は契約残額の10%に相当する額のいずれか低い額
            
(「契約解除によって通常生ずる損害の額」として政令15条で定める金額です)
              

         
提供された役務の対価に相当する額 
               +
          年5%の遅延損害金
                    
   
         
       
 エステ以外の5役務の法定限度額は
                                 

 「提供された役務の対価」を算定する際の単価は、経済産業省通達(平成19年4月13日)に
より以下の通りとされています。

 イ  単価は、契約締結時の単価を上限とする
 ロ  解除があった場合にのみ適用される高額の「対価」を定める特約は、実質的に損害賠償額   
   の予定又は違約金の定めとして機能するものであって、無効である。  よって、そのような
   特約がある場合であっても、「提供される役務の対価」の計算に用いる対価は、契約締結の
   際の単価である。

 上記通達は、次の最高裁平成19年4月3日判決を受けて出されたものです。

「  特定継続的役務提供契約は、契約期間が長期にわたることが少なくない上、契約に基づい
 て提供される役務の内容が客観的明確性を有するものではなく、役務の受領による効果も確
 実とはいえないことなどにかんがみ、

 役務受領者が不測の不利益を被ることがないように、役務受領者は自由に契約を将来に向
 かって解除することができることとし、この自由な解除権の行使を保障するために、
 契約が解除された場合、役務提供事業者は役務受領者に対して法定限度額しか請求できない
 ことにしたものと解される」

   本件使用済ポイントの対価額も、契約時単価によって算定されると解するのが自然
 いうべきである。

   解除があった場合にのみ適用される高額の対価額を定める本件清算規定は、上記各規定 
 の趣旨に反して受講者による自由な解除権の行使を制約するものといわざるを得ない。

   そうすると、本件清算規定は、役務提供事業者が役務受領者に対して法49条2項1号に定め
 る法定限度額を超える額の金銭の支払を求めるものとして無効というべきであり、本件解除の
 提供役務対価相当額は、契約時単価によって算定された本件使用済ポイントの対価額
 と認めるのが相当である



  なお、エステ契約等で
「チケット制」や「ポイント制」を採用している場合に、「みなし消化規定
(実際に利用されていないレッスンポイントを有効期間が経過したとして提供済みのものとして清算
する規定)が設けられていることがあります。

  しかし、このような「みなし消化規定」は、提供されていない役務を合意により「提供された役務」
とみなすものであり、消化回数が少ないケースでは消化回数による算出方法より多額の負担を
強いられることになり、法49条7項により無効であるのは当然であります。
  判例でも同「みなし消化規定」は許されないとしています(東京地裁平成16年7月13日判決)。


<関連商品販売契約の中途解約について>

  消費者は特定継続的役務提供契約を法49条により中途解約した場合、政令で指定された関連
商品の販売契約(役務提供業者が販売・代理・媒介した場合に限る)についても中途解約すること
が出来ます(法49条5項)。

                <政令で指定された関連商品>

  中途解約の際の損害賠償金の上限は、以下の通りに制限されています。

   イ 契約解除が商品引渡し前の場合
       契約締結および履行のために通常要する費用の額
        <例> 契約書の用紙の実費、印紙代、交通費、通信費等

   ロ 契約解除が商品引渡し後の場合
     a 商品が返還された場合
         通常の使用料相当額、 
         又は当該商品の販売価格から残存価格を差し引いた残額が使用料相当額を
         超える場合はその価格

     b  商品が返還されない場合
         関連商品の販売価格

  
<エステの中途解約と支払停止の抗弁について>

  エステを中途解約した消費者は、クレジット会社に対し「提供済み役務の対価+法定違約金」
を超える債務を負担しない」ことを支払停止の抗弁として主張することが出来ます。

  逆にクレジット会社は、「提供済み役務の対価+法定違約金」の範囲内に相当する立替金
と、これを割賦払いとしたことに伴う割賦手数料(契約締結日から中途解約申出日までの経過
日数に応じた割賦手数料相当額)を取得出来るに留まり、未経過期間の割賦手数料の請求は
認められないことになります。
   ※ クレジット既払金には、経過期間の利息相当割賦手数料が含まれています。

 なお、「提供済み役務の対価+法定違約金」よりクレジット既払金が超過していて消費者が超過
分の返還を求める場合には、クレジット会社は解約処理実費を超えない範囲で解約手数料を請求
出来ることになります(国民生活センターの見解)。



 上記最高裁判例とその他の見解は、エステ以外の5役務の場合にも当然適用されます。

当事務所では、中途解約、債務不履行や違法行為(広告、契約の際の告知等を含む)による契約
解除、および支払停止の抗弁に関する内容証明郵便を作成致します。  

 経済産業省や消費者庁への苦情・行政指導要請の代行も致します。
是非ご相談下さい。



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行政書士田中 明事務所