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       こうやって支払停止の抗弁をせよ!
               ~ クレジットの契約構造・支払停止の抗弁事由・商行為 ~


 個別クレジット契約を取消、解除して既払いクレジット代金を取り戻せ

  平成21年12月1日施行の改正割賦販売法(以下本改正法という)から個別クレジット契約を取消すこと
が出来るようになりました。  
  それまでは、販売契約を取消してクレジット会社に支払停止の抗弁を主張するだけで既払クレジット代
金の返還請求までは出来ませんでした。
   
  それを可能にしたところに本改正法の意義があります。

  さて、本改正法では個別クレジット契約のクーリングオフが認められた他、販売店の不実の告知・事実
の不告知による個別クレジット契約の取消、過量販売により個別クレジット契約の解除が認められています。 
 
  何れの場合も既払クレジット代金の返還請求が可能になったのです。

  ところで、特定商取引法ではそれ以前から不実の告知・事実の不告知による販売契約の取消が認め
られており、消費者契約法でも媒介者の法理によりクレジット契約の締結事務を代行する販売店の不実
の告知・事実の不告知・不退去・退去妨害により販売契約と個別クレジット契約の取消が認められていま
した。

  このように本改正により個別クレジット契約の解除や取消の規定が錯綜して分かり難くなっています。
そこで、今日は要件の違いを比較しながら個別クレジット契約の解消又は解除が出来る場合を整理します。


1 個別クレジット契約のクーリングオフ(無条件の撤回又は解除)

   ただし、特定商取引法上の訪問販売等の5類型に限られ、通信販売は除外されています。
 クーリングオフすれば、販売契約もクーリングオフされたと見做されます(これは個別クレジット契約書の
 法定記載事項です)。 
 
   個別クレジット契約書に不備があれば、販売契約書に不備がなくても何時でもクーリングオフが可能
 です。


2 過量販売に係る個別クレジット契約の撤回又は解除

  訪問販売に限り販売契約と共に個別クレジット契約を解除出来ます。
  撤回・解除の通知は、販売業者と個別クレジット会社の双方に対して行います。

  <訪問販売以外で過量販売があった場合>
   平成29年6月3日施行の改正消費者契約法により個別クレジット契約の取消が出来ます。


3 販売業者が販売契約又は個別クレジット契約に関する不実の告知又は故意の事実不告知
  をした場合の個別クレジット契約の取消


   不実の告知及び故意の事実不告知は販売契約に関するものでも取消せます。

     「クレジット代金の負担は要らない」など動機に関する重要な事項に係る不実の告知は、
   最高裁平成29年2月21日判決から割賦販売法第35条3の13第1項6号に基づく取消が
   可能に
なっています。

    ただし、特定商取引法上の訪問販売等の5類型(通信販売は含まない)に限られます。 
  

  なお、<店頭取引での不実の告知・故意の事実不告知の場合>と<訪問販売での不退去・営業所等
  での退去妨害の場合>でも


  → 消費者契約法第5条を直接適用して個別クレジット契約の取消が出来ます。
  → 動機に関する錯誤があった場合でも同法第5条が適用出来ます 
           (平成29年6月3日施行の改正消費者取引法)


4 連鎖販売取引での将来の利益収受の見込みに関する「断定的判断の提供」その他、販売契約に
 関する「断定的判断の提供」があった場合の個別クレジット契約の取消

   
   
「断定的判断の提供」があった場合は法文に規定がありません。
  しかし、連鎖販売取引における将来の利益収受の見込みに関する「断定的判断の提供」は、不実の告知
  に該当すると解釈出来ます。  
   この解釈に従って、販売契約に関する「断定的判断の提供」も個別クレジット契約に関する不実の告知の
  対象として取消事由に当たるものと解されます。




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