職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第109号
               平成25年8月21日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                  今回の目次
            □ こうすれば非弁は避けられる



 
  まず、弁護士資格のない者は、報酬を得る目的で「法律事件」を扱わないことに尽きる
ということです。
  この「法律事件」の解釈ですが、法務省の見解など通説では、「広く法律上の権利義務
に関し争いがあり、疑義があり、または新たな権利義務関係の発生する案件」であって、
「一般の法律事件」と認めるに足りるほどに将来訴訟となりうる蓋然性が具体的事情
から認定できるものに限るべきであるとされています。

  また、「法律事務」については、「法律上、特に手続面で効果が発生し、または変更する
事項の処理をすること」とされ、債権取立ての為の請求、弁済の受領、債務の免除等の
行為も含むとされます。

  そして、弁護士でない者が「法律事件に関する法律事務」を取扱うのが非弁だとする
のが通説の立場です。
  具体例で云うと、「通常の手段では回収困難な債権取立ての委任は、一つの法律事
件と目される案件への介入と認められる」(最高裁昭和37年10月4日決定)として非弁と
されます。

  このように通説の「事件性必要説」では、事件性という絞りを掛けることで非弁の範囲
が広がり過ぎるのを抑えているのです。
  ただ、この「事件性必要説」が最高裁判例として確立している訳ではなく、法務省、総務
省、検察庁など実務の現場ではこの立場に立っているということです。

 そんな中にあって、裁判所がほぼ非弁と認めている事例があります。
弁護士でない者が、
イ 「被害者に代って自賠責保険金の請求・受領を行うこと」
     (東京高裁昭和39年9月29日判決)
ロ 「交通事故の相手方と示談交渉をすること」(札幌高裁昭和46年11月30日)
ハ 「大家の代理人として店子と交渉し、建物賃貸借契約を解除すること」
     (広島高裁平成4年3月6日決定)
 
  判例からすると、弁護士でない者が相手方と直接示談交渉するとまず非弁と見做され
ると見て間違いないようです。
  というのは、示談交渉というのは相手方と金額その他で合意していないから行うので
あり、最初に損害賠償額を算定して相手方に提示することから始まりますが(この金額に
応じて成功報酬を設定することが多いと思います)、この損害賠償額を算定する行為その
ものが「鑑定」に当たると認定される可能性が高いからです。


  次に、非弁は「報酬を得る目的」が要件ですから、報酬を貰うという合意が成立していな
ければ非弁になりません。   ですから、相手方から予期しない謝礼を貰っても非弁では
ないことになります。
 逆に、報酬の合意が成立していれば実際に報酬を貰わなくても非弁になります。

  また、依頼者から報酬を貰わなくても、第三者から報酬を貰えば非弁になります(法務省
の見解)。   例えば、建築主がマンションを建築する際に近隣対策屋に対し周辺住民へ
の対応を依頼し、その報酬を建築会社に支払う請負代金に上乗せしておいて、建築会社
から近隣対策屋に報酬を支払わせるという場合です。


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    (最高裁昭和54年12月14日判決)。