職人型内容証明仕掛人の方法論 ! 第111号
平成25年10月25日発行
職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
今回の目次
□ ローン提携販売の契約構造
みずほ銀行(以下みずほという)は、中古車ローンの顧客に暴力団関係者が230人も
いたことが発覚して金融庁から業務改善命令を受けました。
中古車ローンはオートローンとも云い、オートローンは主に自動車やバイクや貴金属
の割賦販売に利用されており、割賦販売法の適用があるクレジット契約の一種です。
銀行や保険会社等と信販会社(クレジット会社)、販売店が提携して行うローンなので、
ローン提携販売型(委託保証ローン提携販売型)の割賦販売と呼ぶことがあります。
このローン提携販売型には次の3つのタイプがあります。
1 販売業者が保証債務を負担するタイプ
2 信販会社が購入者の委託により保証債務を負担するタイプ
3 保証会社が信販会社の委託を受けて保証債務を負担するタイプ
中古車ローンの契約構造についてもう少し具体的に分かり易く解説します。
まず、中古車ローンは、みずほ、オリコ(信販会社)、販売店、購入者の4者が関係します。
イ オリコはみずほとの業務提携契約に基づき購入者の審査を担当し、ローンの保証
を行います。 これにより、みずほはローンが延滞した場合、オリコから全額回収
出来ることになります。
ロ みずほは購入者と金銭消費貸借契約を締結し、ローン代金は一括してオリコ経由
で販売店に支払われます。 購入者は販売店から中古車を受取り、ローン代金に
利息・割賦手数料・保証料を付して毎月オリコ経由でみずほに分割返済して行きます。
ハ 販売店はオリコとの加盟店契約に基づきローン申込の受付等契約事務の一部を代
行ます。 購入者との間でトラブルが発生した場合、販売店は3ヶ月以内に解決
するよう努め、もし解決しなかった場合にはキャンセル処理とする旨の内規がある
ようです。
今回のみずほの事案では、販売店やオリコが暴力団関係情報に乏しく審査で看過し
ていたこと、みずほは事後の審査で中古車ローンの契約者に暴力団関係者がいること
を認識していながら放置していたことが一番の問題になっているのです。
暴力団関係者にローン提携販売の隙を突かれたのです。
即ち、オリコの審査は15分で終わるという簡易なもので、オリコが利用するCIC(信用情
報機関)には暴力団関係情報が記載されておらず、事前審査をオリコに任せ切りにして
いながら暴力団情報の共有がないからまず撥ねられる心配がないと思われていたと
いうことです。
平成23年10月1日から暴力団排除条例が施行されています。
平成4年施行の暴力団対策法が暴力団員への規制であったのに対し、本条例では
企業や市民に暴力団との交際や暴力団への利益供与をしないよう求め、資金源を
断つことで暴力団の壊滅を狙っているのです。
最後に、同じ提携ローンでクレジット契約と外観が同じなのに資金を出しているのが
消費者金融会社であるという特異な提携ローンがあります。
参考→割賦販売法と消費者金融
これは大変要注意のローンで締結しないことに限ります。
販売店がクレジット会社と加盟店:契約を締結して貰えないような悪徳訪問販売業者で
あったりすることが多く、販売店が商品を引き渡さないで倒産してしまうこともあります。
この提携ローンに割賦販売法が適用される為には、販売店と金融機関との間に密接
な牽連関係が必要です。 もしそれが認められない場合には支払停止の抗弁が出来
ず、販売契約を取消してもローンの返済は残るという悲惨なことになります。
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(最高裁昭和54年12月14日判決)。