職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第112号
                  平成25年12月1日発行
        職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                      今回の目次
             □ 処罰範囲が拡大された営業秘密侵害罪 その1



 平成24年11月に逗子市で起きたストーカー殺人事件の背後には、被害者の正確な
住所を不正取得していた調査会社がありました。
個人情報が犯人の依頼していた探偵会社から犯人に伝えられていたのです。   

 その調査会社幹部は、営業秘密侵害罪で逮捕されています。

営業秘密侵害罪は不正競争妨止法に規定されている犯罪で、被害者の告訴が必要
な親告罪です。

 改正不正競争妨止法(平成22年7月施行)では処罰範囲が拡大されて、競争関係に
ない第三者への営業秘密開示行為も処罰対象になりました。

 この改正不正競争妨止法(平成22年7月施行)の改正のポイントを整理して見ました。

イ 目的要件が拡大され、「不正競争の目的」から「図利加害目的」に変更されました
   (法21条1項各号)。

   つまり、営業秘密の保有者と侵害者又は開示を受けた者との間に競争関係がなく
  てもよいことになりました。

ロ 図利加害目的で詐欺等行為又は管理侵害行為により営業秘密を取得する行為
  類型は
(不正取得型)、その方法の如何を問わず営業秘密取得罪
とされました
  (法21条1項1号)。

    詐欺等行為とは→詐欺、暴行、脅迫
    管理侵害行為とは→財物の窃取、施設への侵入、
                 不正アクセス法で規定する不正アクセス行為

   つまり、使用又は開示に供する目的を問わず、かつ方法の限定もなく、
  図利加害目的
詐欺等行為又は
  管理侵害行為に
よる営業秘密自体の不正取得(媒体の取得・複製を
  要しない)が処罰対象になりました。

   不正取得・領得後に図利加害目的で使用・開示しても、処罰対象にされます
   (法21条1項2号)。    

   営業秘密を領得した時点では図利加害目的を有していなくても、使用又は開示
  の時点で図利加害目的を有していれば、処罰対象になります。

ハ  従業員等が営業秘密の管理に係る任務に背いて一定の方法により営業秘密を
  領得する行為類型は(正当取得型)
  使用・開示に至らない段階で
営業秘密領得罪とされました(法21条1項3号)。 

   従業員が領得した営業秘密を図利加害目的で使用・開示しても処罰されます
   (法21条1項4号)

   
ニ  営業秘密記録媒体等の定義が「営業秘密が記載され、又は記録された文書、
  図画又は記録媒体」に変更され、「営業秘密が化体された物体」が追加されました
   (法21条1項3号イ)。


 冒頭の事件の調査会社は、ガス会社から顧客を装って被害者の氏名と部屋番号を
聞き出し、更に逗子市役所に電話を掛けて被害者の住所を入手していました。

 法人が管理する顧客又は住民の個人情報は営業秘密であり、それを調査会社は
図利加害目的で詐欺等行為により取得したとして営業秘密侵害罪に当たるとされたの
です。

  続きを、「処罰範囲が拡大された営業秘密侵害罪 その2」に記載しました。

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