職人型内容証明仕掛人の方法論 ! 第116号
平成26年7月31日発行
職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
今回の目次
□ 求償権と原債権の関係について
中小企業への銀行融資で信用保証協会の保証が付いている場合、信用保証協会が
代位弁済すると、信用保証協会は求償権を取得することになります(民法459条)。
かって、信用保証協会と主債務者間の特約(求償権について約定利率の損害金を定め
ている)は、後順位抵当権者等第三者に対して有効なのか、原債権は消滅するのかそれ
とも代位弁済者に移転するのかなどが問題となったことがあります。
しかし、最高裁昭和59年5月29日判決により上記特約は有効とされ、代位弁済の法的
性質については「法律上の債権移転説」の立場が通説・判例となっています。
上記最高裁判例要旨は以下の通りです。
イ 弁済による代位の制度は、代位弁済者が債務者に対して取得する求償権を確保す
るために、法の規定により弁済によって消滅すべきはずの債権者の債務者に対する
債権(以下「原債権」という)およびその担保権を行使することを認める制度である。
ロ 代位弁済者が弁済による代位によって取得した担保権を実行する場合において、
その被担保債権として扱うべきものは原債権である。
ハ その効果として、債権者の有していた原債権およびその担保権をそのまま代位
弁済者に移転させるものである。
代位弁済者はその求償権の範囲内で右の移転を受けた原債権および担保権自体
を行使するにすぎない。
ニ 保証人が代位によって行使できる原債権の額の上限は、これらの利害関係人に
対する関係においても、約定利率による遅延損害金を含んだ求償権の総額に
よって画されるものというべきである。
要旨を更に要約しますと
・原債権は消滅せず、代位弁済者に移転する。
・原債権は求償権確保のためにその目的の範囲内で存続する。
・担保は移転した原債権に随伴する。
・代位根抵当権の被担保債権は、原債権である。
具体例で説明しますと
・原債権の総額が600万円で求償権の総額が800万円の場合
→代位弁済者は600万円までしか担保権の行使が出来ません。
・原債権の総額が800万円で求償権の総額が600万円の場合
→代位弁済者は600万円までしか担保権の行使が出来ません。
なお、原債権と求償権との競合関係については、最高裁昭和61年2月20日判決によれ
付従的な請求権競合の関係にあるとされました。
「 原債権と求償権とは、元本額、弁済期、利息・遅延損害金の有無・割合を異にすることに
より総債権額が各別に変動し、債権としての性質に差異があることにより別箇に消滅時効に
かかるなど、別異の債権ではあるが、
代位弁済者に移転した原債権及びその担保権は、求償権を確保することを目的として存在
する付従的な性質を有し、求償権が消滅したときはこれによって当然に消滅し、その行使は
求償権の存する限度によって制約されるなど、求償権の存在、その債権額と離れ、
これと独立してその行使が認められるものではない」
次に、保証人による一部弁済の場合ですが、民法第502条1項の適用が当事者間で排除され
るのが通常です。
つまり、保証人は一部弁済により取得した権利の行使を放棄する旨の特約を保証委託契約
の中で設けるのが通常です。
仮にそのような合意がなくても最高裁判例で「一部弁済者が担保権を実行したときは、代金
の配当については元の債権者が優先する」としています(最高裁昭和60年5月23日判決)。
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