職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第123号
                     平成27年3月26日発行
      職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                          今回の目次
                      □ 不動産の時効取得




<事例>
  Aさんは昭和63年11月に新築した一戸建に住んでいますが、土地は昭和61年1月に亡くなった祖母
の名義のままで、この土地は祖母が夫から相続したものです。
  Aさんは母(平成25年12月死亡)と同居していましたが、土地の固定資産税は母が自分の土地と思っ
て支払っていました。

  しかし、Aさんは一人っ子で土地を母から単独で相続したと思っていたところ、土地名義人の祖母は
養子であったので、実親の六女である祖母には48人の相続人がいました。
  土地の名義をAの単独名義に変更するにはどうすればいいか。


  Aさんは母と祖母の相続人48人で共有する土地の上に一戸建を新築して、他人の土地を20年以上
も占有して来たことになります。

 相続人が48人もいる場合、遺産分割協議は全く非効率で現実味がありません。
そこで検討すべきなのが、土地の時効取得なのです。


 民法第162条・・・・20年間、所有の意思をもって平穏に、かつ、公然に他人の物を占有した者は
            その所有権を取得する。

 民法第186条1項・・・・占有者は所有の意思をもって善意で、平穏に、かつ公然と占有するもの
              と推定する。

 
 まず、他人の土地の上に自宅を建て、土地を自分の土地と思い敷地として使用して来たのですから、
Aさんが他人の土地を所有する意思で占有していること(これを自主占有といいます)は明らかです。

  次に、占有者には、所有の意思で善意で平穏かつ公然と占有することが推定されますから、Aさんが
自宅の新築から20年以上に渡って占有して来たという事実を立証すれば、土地の時効取得が認めら
れる筈です。

 土地の時効取得は、48人の相続人に対し時効援用の意思表示をすれば認められます。 
しかし、登記申請の際は相続人全員が登記義務者となる為、一人でも非協力者がいると登記が出ま
せん。

  そこで、これを回避する方法として、登記手続を命ずる判決を得る方法があります。
訴訟では相続人全員が被告となります。  その際、相続人を確定する為に収集した膨大な除籍謄本
等を添付することになります。

  なお、時効の起算日後に登記名義人が死亡していた場合はその必要がありませんが、
時効の起算日前に登記名義人が死亡していた場合は、時効取得前に相続の効力が発生しています
から、Aさんの所有権単独登記の前に相続登記をするのが現行法上の登記実務になっています。  
  
 ただし、Aさんは相続人に代位して相続登記申請をすることが出来ますから何の心配も要りません。


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