職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第131号
                     平成28年5月18日発行
      職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                      今回の目次
              □ 
意思実現による契約の成立
                 ---黙示の承諾となる例外ケースとは




  契約は申込と承諾という二つの意思表示が合致した時に成立するのが原則ですが、
;例外として民法第526条2項で「意思実現による契約の成立」が認められています。

  
民法第526条2項 
   →「申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合
     においては、契約は承諾の意思表示と認めるべき事実がある時に成立する」

  このような事実を行った者に承諾の意思を確実に推論できる点で承諾と異ならない面が
ありますが、申込者に通知する必要がなく、承諾の意思を外部に表示する意思(表示意思)
を欠いていることから、特に「意思実現による契約の成立」と呼ぶのです。


  例えば、特に注文していないのに「これを買わないか」という趣旨で送られて来た商品
を受領者が利用又は消費すれば、契約が成立することになります。

  受領者の「利用又は消費」したという事実が「承諾の意思表示と認めるべき事実
なのです。

  これは契約の成立を前提としてその契約による利益を享受する行為、つまり契約を
成立させる旨の意思を直接に現実化する行為であり、「意思表示」そのものではないこと
から「
意思表示」と区別して「意思実現」と呼んでいるのです。

 
 利用又は消費などの「承諾の意思表示と認めるべき事実」があれば契約が成立する
ことを利用した悪徳商法に
「ネガティブ・オプション」(送りつけ商法)があります。

  注文をしていないのに商品を送りつけ、「返送しない場合は契約が成立しますから代
金を指定口座に振り込んで下さい」と振込用紙が同封されています。
 
  業者が一方的に商品を送りつける行為も「購入してほしい」という申込に当たり、
代金
を支払ったり、商品を利用
又は消費すれば「承諾の意思表示と認めるべき事実」 があっ
たことになり契約が成立してしまいます。

  特定商取引法では、「ネガティブ・オプション」から消費者を保護する為の規定を設けて
います。
  
  消費者は
商品が届いた日から14日経過すれば自由に処分出来ますし、業者は14日
経過後から商品の返還を請求出来なくなります。

  ただし、消費者には14日間商品を自己の財産と同等の注意義務を持って保管する
義務があります。

  しかし、業者に「引き取ってくれ」と連絡すれば、その保管義務期間はその日から7日
間に短縮され、それを経過すれば処分が可能になります。

  また、商行為となる場合でも「承諾の意思表示と認めるべき事実」がない限り契約は
成立しませんが、保管義務期間の制度が適用されなくなりますから、速やかに返還する
のがベターです。


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