職人型内容証明仕掛人の方法論 ! 第136号
平成28年12月17日発行
職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
今回の目次
□ 改正貸金業法で伸びた銀行カードローン
平成27年度の銀行カードローン(銀行が発行するキャッシングカードを利用した消費者向け無担保
融資)の貸付残高は4兆6113億円で、消費者金融(信販会社などノンバンクの消費者向けキャッシング
を含む)の無担保ローンの貸付残高は4兆336億円でしたから、銀行カードローンが消費者金融を上回
ったことになります。
2006年(平成18年)12月12日に成立した改正貸金業法により、消費者金融の金利の上限が元
本10万円未満の場合年20%(ただし10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%)に引下
げられ、次に2010年(平成22年6月)からは総量規制(貸付残高が年収の1/3を超えると新規貸付
は出来ない)が実施されました。
この結果、消費者金融全体の残高は年々減少して、2006年(平成18年)に20.9兆円あったのが2015年
(平成27年)には4.4兆円で約四分の一も縮小しています。 消費者金融業者の数も六分の一以下に減
っています。
改正貸金業法最大の狙いであった多重債務者の削減では、平成18年で171万人いた多重債務者が
平成28年10月末で9万人まで減っています。
当初、多重債務予備軍がヤミ金に流れるのではとの懸念も一部にありましたが、それは起きなかった
ようです。
この10年間で消費者金融業者が返還した過払い金の全体の総額は、6兆円になると云われます。
この間、消費者金融業者の淘汰と再編が進み、大手消費者金融会社は生き残り策としてメガバンク
の傘下に入り大規模なリストラが実施されました。
消費者金融のノウハウを吸収して消費者金融業界の凋落を尻目に成長した来たのが銀行カードロー
ンなのです。
銀行カードローンは無担保・無保証人、スマホでの申込み、ATMでの引出し・返済など消費者金融と
殆ど変わりない利便性がある上、金利が年14%程度と消費者金融よりやや低くかつ貸金業法の適用外
で総量規制もなく、多くの新規顧客を取り込める下地がありました。
アコムとかプロミスなどメガバンクの傘下に入った大手消費者金融会社のローンを銀行系カードロー
ンと云うことがありますが、改正貸金業法が適用される消費者金融であることに何ら変わりありません。
一方、銀行カードローンには銀行法が適用され、総量規制がないことが消費者金融と大きく違います。
外見上同じように見える両者の無担保ローンでも以下のような違いがあります。
1 銀行系カードローンは審査のスピードが早く即日融資も可能なことを最大の売りにしているのに対
して、銀行カードローンの審査では必ず在籍確認が行われスピードも若干遅いとされます。
それは、銀行カードローンは保証会社の保証付きで、保証会社に審査と債権回収を業務委託し
ているからです。 なお、銀行が選ぶ保証会社にはアコムなどの大手銀行系カードローン会社やオ
リコなどの信販会社であるのが通常です。
2 銀行カードローンは総量規制の適用がないので、専業主婦でも夫に安定収入があれば利用可能
で、所得証明も300万円位まで原則不要とされるのに対して、銀行系カードローンは専業主婦はまず
駄目で、所得証明も50万円超の融資や他社との合計が100万円超になる場合には提出が必要にな
ります。
銀行系カードローンは急に必要になった小口融資を申込んだその日に借りられるというメリットが
あるのに対し、銀行カードローンは総額規制の適用がない関係で所得証明なしでも相当高額な融資
が受けられるというメリットがあります。
3 銀行系カードローンでは30日程度の無利息期間を設けています。 、銀行カードローンでも新規に
限り初回返済日までを無利息とするところが出て来ましたがまだ一部です。
ここまで書いて来てふと思ったことがあります。
消費者金融は健康保険証の提示のみで50万円即日融資を売りに業容を右肩上がりに拡大して
来て、業界全体の貸付残高が10年前で約20兆円位もありました。
現在の銀行カードローンと消費者金融の残高合計は約8兆円です。 銀行カードローンが急伸し
たのは最近のことですから、消費者金融が10年で減らした約16兆円のかなりが銀行ローンに流れたと
考えられます。
改正貸金業法の真の狙いは、もしかして無担保ローン需要者の多くを消費者金融会社から銀行に
シフトさせる金融再編にあったのかもしれません。
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