職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第153号
                 平成31年5月5日発行
        職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                         今回の目次
                  □
  割賦販売法の盲点について




  昨年、トライクレンタル商法で500人近い人が「クレジット代金の負担は要らない」と騙
されて、最終的に120万円~160万円位のクレジット残債を負わされるという事件があり
ました。

  この事案は、次の点で割賦販売法の盲点を巧みに突いていました。

  まず、「クレジット代金の負担は要らない」と専ら勧誘(不適正な勧誘行為)をしていた
のは、加盟店ではなく、加盟店と提携関係にある外部の第三者Aだったのです。

  尤も、「クレジット代金の負担は要らない」など動機に関する重要な事項に係る不実の
告知は、最高裁平成29年2月21日判決から割賦販売法第35条3の13第1項6号に基づく
取消が可能になっています。

  しかし、外部の第三者Aが加盟店の実質的なメンバーと認定されない限り、加盟店の
不実の告知等を理由に個別クレジット契約の取消が現在でも出来ないのです。


  なお、消費者契約法第5条には「受託者等」の規定があり、外部の第三者Aが「受託者
等」に該当すれば個別クレジット契約の取消が可能です。

  しかし、顧客の「クレジット代金の負担は要らない」など動機に関する重要な事項に係る
取消は、平成29年6月3日施行の改正消費者契約法から取消が認められたもので、
平成29年6月3日以後に締結された個別クレジット契約から適用されます。


  次に、加盟店はレンタル目的をクレジット会社に隠してトライクを販売しており、これは
加盟店契約違反、つまり、クレジット会社に対する背任的不正行為です。

  そして、加盟店と外部の第三者Aは、顧客に対しクレジット会社の確認の電話時に
「自己使用目的です」と答えるよう指示しており、これは顧客に対する誠実対応義務違
反の指示という不正行為です。


  加盟店はレンタル目的でトライクを2年間で500台も販売していながら、平成30年の
春頃までクレジット会社に気付かれずにいました。
 
  実は、この個別クレジット契約は通信販売の扱いにされていました。
通信販売の場合、割賦販売法で5取引類型に限定して適用されるクレジット会社の
加盟店調査管理義務の規定や不実の告知等による個別クレジット契約の取消規定
が適用されません。

 その為か、トライクというマニアックなバイクが平成27年5月頃から急に売れ始め、
平成28年は年間を通じて売上がピークに達し、平成29年8月頃が売上が急減して、

Aからのレンタル料(クレジット代金相当)の支払いも平成29年11月頃から止まり始め
ていたにも拘らず、クレジット会社は加盟店や顧客を調査していた様子が伺われない
のです。

  クレジット会社のセディナなどは、トライクオーナー商法なるものを平成30年3月頃に
初めて認識するに至り、加盟店に対し立替金返還訴訟を提起しています。

  しかし、それまで売れなかったトライクの売上急増の原因などは、日常的な加盟店
管理体制の中で調査して然るべきことであり、過去に多発した名義貸し事例の集積を
有する与信のプロなら異変の察知はそう難しいことではなかった筈です。

  それが察知出来ていないということは、もはや日常的な加盟店管理体制の劣化以外
の何物でもありません。

  セディナ側にも落ち度があると思われるのに、セディナが提訴した裁判ではトライク
が納車未了にも拘らず顧客敗訴になっています。

  裁判所の判断の要旨は以下の通りでした。

 「自己使用目的と虚偽の回答をセディナの電話確認時にしており、納車未了を以て
支払停止の抗弁を主張するのは信義則に反し認められない」
 (東京簡易裁判所平成31年3月18日判決)

  しかし、割賦販売法で消費者契約法第5条の「受託者等」と同じ規定が設けられて
いて、第三者の動機に係る重要事項の不実告知による個別クレジット契約の取消が
通信販売でも可能であったなら、裁判になる前に内容証明郵便1本で解決していた筈
です。


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