職人型内容証明仕掛人の方法論 ! 第161号
令和2年10月21日発行
職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
今回の目次
□ 承認の時効中断効について
旧民法第147条では、時効中断事由として「請求(裁判上の請求など法的手続)」と「差押
・仮差押又は仮処分」と「承認(一部弁済、返済猶予の懇請など)」の3つを定めています。
そして、旧民法第148条では、時効中断効は「当事者及びその承継人の間においてのみ
その効力を生ず」としています。
当事者とは、債権者と債務者であり連帯保証人は含まないと解するのがごく自然な解釈
ですから、時効中断効とは相対的効力であると解されます。
しかし、連帯保証人や連帯債務者がいる場合には、民法は例外として一部に絶対的効力
を認めています。
旧民法第458条(連帯保証の特則)で旧民法第434条(履行の請求の絶対的効力)を準用して
いるからです。
従って、
主債務者への裁判上の請求 →絶対的効力の結果、連帯保証人にも時効中断効
連帯保証人に対する裁判上の請求 →絶対的効力の結果、主債務者にも時効中断効
なお、旧民法458条が準用するのは旧第434条及至旧第439条だけですから請求、更改、
相殺、免除、混同、時効完成に限定されて絶対的効力が生じます。
即ち、判決の効力、承認(一部弁済)、差押・仮差押又は仮処分、債権譲渡、時効停止・
時効の利益の放棄、債務者の過失・遅滞は除外されており、
旧民法440条で前6条(第434条及至第439条)掲げる事由を除き絶対的効力を生じな
いとしています。
從って、連帯保証人の承認(一部弁済)は
→相対的効力しかなく、主債務の時効を中断しないことになるのです。
さて、主債務者が承認(一部弁済)した場合ですが、承認(一部弁済)が旧民法458条が
準用する事由から除外されていることから、相対的効力しかないのではとの疑問が生じ
ますが、
判例で連帯保証債務の付従性に基づき連帯保証債務にも主債務の最後の弁済か
ら5年の時効期間が進行することになります。
「・・・・・物上保証人が、債務者の承認により被担保債権についても消滅時効の効力を
否定することは、担保権の付従性に抵触し、民法396条の趣旨にも反し、許されない
ものと解するのが相当である」(最高裁平成7年3月10日判決)
從って、主債務者の承認(一部弁済)
→連帯保証債務の付従性により連帯保証債務の時効に時効中断効が生ずる。
ところで、新民法では、時効援用の相対的効力の原則が裁判上の請求、差押・仮差押・
仮処分、承認にも広げられています。
新民法第441条
第438条(更新)、第439条(相殺)、前条(混同)に規定する場合を除き、
連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対して
その効力を生じない」
つまり、
主債務者への裁判上の請求、差押・仮差押又は仮処分、主債務者の承認(
一部弁済)は除外されていないので
→連帯保証債務に時効中断効が生じない。
連帯保証人への裁判上の請求、差押・仮差押又は仮処分、連帯保証人の
承認(一部弁済)があっても、やはり
→主債務に時効中断効が生じない。
ことに修正されているのです。
ただし、適用は令和2年4月1日以降に成立した債権からになります。
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