職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第167号
               令和3年8月17日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                  今回の目次
             □
 ボッタクリ商法との闘い方


  キャバクラなどのボッタクリ商法に係る相談は当事務所に毎年1、2件はあり、
私はこの商法が減って来ているという実感を全く持てません。

  その理由として、警察が民事不介入を理由に被害届を受理しないのが普通に
なっていて、被害額が50万円前後なので引受けてくれる弁護士も見付からず、
泣き寝入りしてしまうケースが多いことが、ボッタクリ業者の付け入る隙になって
いるのかもしれません。

  しかし、キャバクラにキャッチに誘われて入店する客も普通の店で買物をする
客も同じ消費者に違いないのですから、消費者保護の規定が適用されて当然で
すし、逆にキャバクラの客が保護されていないとすれば法的平等という点で差別
されている実態があることを意味します。


  キャバクラのボッタクリのやり方は、精算時に根拠の不明確な法外な金額(事
前にその説明がない)を請求して、客が現金の持ち合わせがないとクレジットカード
で決裁させるというものです。

  少し前は、カード決裁しないと店から出さないと脅かされることが多かったよう
ですが、最近は、泥酔した客の財布から従業員が勝手にクレジットカードを抜いて
決裁して戻し、後になってクレジット会社から届いた支払明細書で不正使用が発
覚するケースが多く見られます。


  以下で二つの代表的な事例の闘い方を整理して置きます。

1 勝手にカード決裁されたケース

 クレジットカード規約の解釈に関する以下の判例に基づき、免責を主張します。

「クレジットカード規約にある盗難、詐取、横領又は紛失に係るクレジッ
 トカードが第三者により不正使用された場合・・・一定の要件の下で会員
 の損害をクレジットカード会社が補填する」という趣旨の規定は、

「列挙された事由は例示的なものであって、それ以外の態様により
 会員の正当な意思によることなく占有が移転されるなどしたクレジ
 ット
カードが不正使用された場合についても当該規定が適用される
            (
東京地裁平成27810日判決)

顧客が酷い酩酊状態にあり判断力が低下していることを知りながら
根拠のない
法外な請求をしたことは、キャバクラ店の故意又は重過失に
よる
不正行為・暴利行為です。

 
また、従業員が顧客の意思に反しクレジットカードの占有を移転させ
て本決済に使用したことは、第三者によるクレジットカードの不正使用に
該当致します。

よって、本決済は公序良俗に反し無効であり(民法第90条)、クレジッ
トカード規約上、クレジット会社の負担となり顧客の責任は免責されます。



2  精算時に法外な金額を請求されたが、店長から「金額に不服なら支払っ
 てから後に然るべき処置を取ってくれ」と云われたので、それを信じカ
 ード決裁しクレジット支払伝票にサインしたケース。


   顧客は酩酊する程に何杯も飲んでおらず、それまで提示の計算根拠か
 ら4万円~5万円位になるものと予想したが、請求額はその8倍もあり、もし
 事前に知り得れば断わって帰ったというものでした。

  キャバクラ店は初めに提示した追加料金の計算根拠とは全く別の計算
根拠を顧客に一切隠し、顧客の誤信を利用し注文を取っていたことになり
ます。

  これは不作為の詐欺行為であり、公序良俗に反する行為(民法第90
)により顧客が誤信に基づき行った注文及び本カード決裁は無効です


 
なお、顧客がクレジット支払伝票にサインしたのは、「金額に不服
なら支払ってから後に然るべき処置を取ってくれ」との店長の言葉を
トラブルに不慣れな顧客がそのまま信用して、これが通常の処理の仕方
なのだと錯覚した結果であり、サインが顧客の本意でないことには変わ
りありません。


3 まとめ

  キャバクラ店とクレジット会社に対しては、上記主張及びその理由を内容証
明郵便に書いて支払停止の抗弁(割賦販売法第30条の4)を通知します。

 
その後どうなったかですが、
当事務所に作成を依頼した顧客の連絡から判断する限り、クレジット会社が
支払停止の抗弁を認め、最終的に免責になっているようです。

 
ただし、1件だけ弁護士を付けず支払督促を提起して来た案件がありま
した。
 しかし、原告の社員は裁判所を欠席した為、取下げとなり、その後に5万円
で和解したい旨の提案があり、顧客はその和解に応じています

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