職人型内容証明仕掛人の方法論 ! 第177号
令和4年10月11日
職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
今回の目次
□ 過払金返還請求権の消滅時効と過払金の利息
消費者金融の過払金返還請求は、平成18年1月13日付最高裁判決(シティズ事件)
によりグレーゾーン金利が無効と判示されてから爆発的に増えました。
それから16年が経過した今でも、過払金請求の広告を出している法律事務所を見
ることがありますからまだ完全に終焉した訳ではないようです。
その背景として、過払金返還請求権の消滅時効の起算点、及び過払金の利息が
発生する時点に関する最高裁判例が関係しています。
下記の通り取引終了からまだ10年が経過しておらず、時効消滅していないものが
まだあるからです。
1 過払金返還請求権の消滅時効の起算点はいつか
最高裁平成21年1月22日判決では、「権利を行使するすることができる時」とは
「取引終了時」である判示しています。
過払金返還請求権の消滅時効の起算点は、「取引終了時」となります。
「 過払金充当合意には、・・・基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が
終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし、
それまで過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず、これを
そのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣
旨が含まれているものと解するのが相当である。
・・・・・同取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となる
というべきであり、過払金返還請求権の行使を妨げるものと解する
のが相当である。
・・・・・過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が進行すると解すること
は、借主に対し、過払金が発生すればその返還請求権の消滅時効期間経過前
に貸主との間の継続的な金銭消費貸借取引を終了させることを求めるに等しく、
過払金充当合意を含む基本契約の趣旨に反することとなる・・・・ 」
(最高裁平成21年1月22日判決)
なお、「法律上の障害」なる用語(民法本文では使用されていない)は、
民法第166条1項の解釈に関する通説の「法律上の障害がなくなった時から、
債権の消滅時効が進行を開始する」(法律上の障害説)から引用したものと考え
られます。
結局、過払金返還請求権の消滅時効は、取引終了から10年ということになり
ます。
ただし、令和2年4月1日以降に取引が終了した場合には、改正民法が適用さ
れ、借主が過払金返還請求権を行使出来ると知った時から5年(知らなかった場
合は10年)ということになります。
2 過払金の利息の発生時期はいつか
過払金は、利息制限法の制限超過利息を元本に充当していった結果、計算
上元本が完済となった後も、さらに返済を続けていた場合に発生します。
つまり、過払金の利息は、個々の返済の都度発生することになります。
そこで、過払金返還請求権の消滅時効の起算点を「取引終了時」とした
最高裁平成21年1月22日判決と整合性がとれるかという指摘に対して、
最高裁は以下の通り判示して整合性がとれるとしました。
「 過払金充当合意がある取引については取引の終了時が消滅時効の起算点
となることを前提として、そのような過払金充当合意が認められる一連の取引
であっても、利息については、個々の過払金発生時(個別の支払い時)か
ら発生する」 (最高裁平成21年9月14日判決)
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