内容証明郵便でブレイク !  第50号
              平成19年7月25日発行             

              今回の目次
        □ 次々販売とクーリング・オフの適用除外
        □ ネットオークション出品者の説明義務



   □ 次々販売とクーリング・オフの適用除外

 悪徳業者というのは、一度騙して買わせた客にまた別な商品を売付けようとします。
これを次々販売といい、老人や若者が被害に遭っています。

 さて、訪問販売の場合、クーリング・オフが適用されることが原則ですが、
法律には必ず例外があるのが常です。
特定商取引法にも26条というクーリング・オフの除外規定が置かれています。
                   
 クーリング・オフというのは、不意打ちの訪問販売を前提にしているのです。
つまり、予期せぬ訪問販売で熱くなった頭を冷やすという意味なのです。
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 さて、法26条第2項1号では、消費者の方から住居における取引を請求した者に
対する訪問販売(請求訪販という)を適用除外とします。
    
 この場合は、消費者には訪問販売の方法で商品を購入するという取引意思が
予め形成されています。つまり、不意打ちの訪問販売とは言えないのですから、
クーリング・オフによって保護すべき場合ではないのです。 
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 ではどんな場合に「請求」と言えるかは、詳しい通達があります。
以下に通達を整理して見ます。

 ・ 消費者が業者に商品について問い合わせたところ、
  業者がご自宅に商品を持参してご説明したい旨を申出て訪問した場合 
   → 住居での取引意思の表明にはならないから、請求訪販に当りません。

 ・ 消費者が台所の水漏れの修理を依頼し、修理に来た訪問販売業者から
  台所のリフォームを勧誘された場合 → 請求訪販に当りません。

 ・ 1回目の訪問販売で2回目の訪問を約束したり、契約の打ち合わせが
  継続している中で消費者からたまたま連絡することがあった場合
     → 一連の訪問販売の一部であり、請求訪販には当りません。
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  消費者がクーリング・オフを業者に告げた時に、業者からあれは
 請求訪販だと言われて、簡単だと思っていたクーリング・オフが
 拗れることがあります。
  しかし、普通は請求訪販になるケースというのは稀です。
 以前に取引があったとか信頼関係のある訪問販売業者の場合に
 限られて来るはずです。



   □ ネットオークション出品者の説明義務

 最近、ネットオークションの出品者と直に交渉して購入するケースが増えています。
その一方で、直くに買った中古車や中古ブランド品に隠れた欠陥があったり、
別の商品だったというトラブルも増えています。

 ヤフーその他には補償規定がありますが、直の取引には適用されません。
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 中古品というのは、契約時の状態で引渡せばいいのです。
民法でそうなっています。
つまり、修繕が必要な状態であっても、買主は修繕を請求出来ないのです。

 もっとも、買主が通常の取引で要求される一般的な注意義務では発見出来ない
隠れた瑕疵がある場合、
買主は損害賠償の請求又は契約解除が出来ます。
  
  何れにしても、売主だってトラブルは避けたいはずです。
 ではどうすればいいのか・・・・・・。
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 ネットオークションでは、商品説明の記載とメールのやり取りが極めて重要です。
買主はこれらの説明に全幅の信頼を置いて意思決定をするのですから、
もしこれに虚偽の記載をするような売主は、全く救いようがありません。

 買主が虚偽の記載を信じて契約した場合、
買主からは錯誤による契約無効を主張されることになります。

 ですから、売主は商品に関する調査を十分にして、記事を正確に書いて、
買主に間違った認識を与えないことが、最大のトラブル回避策なのです。

 また、メールの記載も大事です。中古車なら、
どんな箇所に修繕すべき箇所があるということを正確に提示すべきです。

 買主がそれを分かってこの値段(中古車の平均より相当割引された値段)で
了承したというのなら、売主に隠れた瑕疵の責任は発生しないはずだからです。
要するに、ネットでは正直に説明義務を果たした売主が救われるのです。
                         

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