職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第68号
         [ 旧タイトル  内容証明郵便でブレイク! ]
               平成21年5月29日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

              今回の目次
          □ 内妻の法律関係
              ☆ 内妻と遺族厚生年金
              ☆ 内妻と日常家事



    □ 内妻の法律関係

    ☆ 内妻と遺族厚生年金
 婚姻には法律婚と事実婚があります。
夫婦共同生活の存在はあるが婚姻届を提出していないのを事実婚といい、
事実婚の妻を特に内妻又は内縁の妻といいます。 

 内妻には相続権こそありませんが、判例では法律婚の妻と殆ど変わらない法的
保護が与えられています。
しかし、事実婚の場合、経済的な理由で同居していなかったり住民票も別々だったり
すると、愛人関係と見間違われやすいのが難点といえば難点です。

 当事者の婚姻意思と夫婦共同生活の実態があれば事実婚は成立しますが、
挙式を挙げていないのが普通ですから、外部の人間は婚姻意思を推測するしか
ないからです。
                     
 さて、遺族厚生年金の受給資格者である配偶者には、事実婚も含まれます。
厚生年金法第4条には明文でそう規定されています。

 ただし、内妻が請求するには戸籍謄本等や住民票の他に、生計同一関係申立書
というものを添付する必要があります。
特に別居していたり住民票が異なっていた場合には、経緯や理由を丁寧に書いて
提出する必要があります。
 
 これには第三者の証明と云って、民生委員とか施設長の印鑑を貰います。
尤も当事者と利害関係のない第三者であれば誰でもよいとされます。

 これは形式的なもので、実質的に生計同一・生計維持関係があるか否かの
判断が全てです。  
 同居していない内妻の場合でも、内縁の夫からの定期的な生活費で生活しており、
かつ定期的な訪問や通信があれば生計同一関係があるとされる筈です。
また、生計維持関係は生計同一要件と収入要件(課税証明書)を充たせば
あると判断されます。


   ☆ 内妻と日常家事
 内妻も民法上は法律婚の妻と変わりない扱いがされますから、
日常家事については連帯債務を負うことになります。

 では、夫が自宅で保険の効かない高額な延命治療を受けた末に亡くなった場合で
収入は年金月額15万円だったのに対し、月額40万円の医療費を負担していた場合
には、この高額な医療費は日常家事に含まれるのでしょうか。

 我妻榮博士によれば、日常家事を「その範囲は、各夫婦共同生活の社会的地位・
職業・資産・収入などによって異なるのみならず、当該共同生活の存在する地域社会
の慣習によっても異なる」としていています。

 判例では収入が17万円の夫が57万円の学習教材を購入した場合、日常家事の
範囲外としたものがあります。

 結局、支払能力を超える債務は日常家事に含まれないとされる余地がありますから、
業者としては内妻を連帯保証人にしていない限り、夫の相続人に請求しなければなら
ないということも起こりえます。
                       
 最後に、夫が病気療養中の場合、必要な医療費の支払いに当てる為に夫が内妻に
印鑑を預けて夫名義の銀行口座から預金を下ろすよう指示する場合があります。

 銀行実務でも、担当者が内妻として認めており使用目的が日常家事の範囲内と認識
している場合には、本人にその都度意思確認をせずに下ろしているようです。
 しかし、田舎に行くと内妻の法的保護などの認知度はまだ低いですから、財産目当て
に遠戚の者がしゃしゃり出て来て、内妻を排除したりしてトラブルになることがあります。

 このような者が本人の印鑑と通帳を持って銀行に現れた場合、担当者が本人と長い
付き合いがあっても、銀行が本人確認をしなかったとしたら債権の準占有者への弁済
(民法478条)が成立する余地はありません。
 
 内妻関係や高齢者財産管理の分野は、これから業務の確立が大いに期待されている
フロンティアとして存在しているように見えます。


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