職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第80号
         [ 旧タイトル  内容証明郵便でブレイク! ]
               平成22年5月21日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

              今回の目次
          □ 割賦販売法と消費者金融
             ☆ 消費者金融に割賦販売法が適用される場合の要件
             ☆ クーリングオフと清算関係〜改正割賦販売法では



   □ 割賦販売法と消費者金融

    ☆ 消費者金融に割賦販売法が適用される場合の要件
 <事例>
 アポイントセールスでAは宝石を販売業者Bから購入する際、Bの勧めにより
消費者金融業者Cからローン70万円を借り、AはCから70万円を受取ると直ぐに
Bに交付しました。  
 Bは顧客に対し消費者金融を利用しての購入を継続的にあっせんしており、
金銭消費貸借契約書を提供し作成に関わっています。  
Aは金銭消費貸借契約のクーリングオフが出来るのでしょうか。
 
 金銭消費貸借契約の場合であって以下の要件が揃えば割賦販売法が消費者
金融にも適用されますから、支払い停止の抗弁やクーリングオフを消費者金融業
者に主張出来るのです(経済産業省発行、割賦販売法解説平成16年版を参照)。

  その要件とは
1 まず、販売業者と与信業者の間に次にイ又はロのような関係がある場合、
 割賦販売法第2条4項の「個別信用購入あっせん」 (個別クレジット)と
認められるとされます。
 イ信用供与契約と販売契約とが手続き的に一体である場合
     (両契約が同一機会等に一体的に締結されている場合)

 ロ反復継続的取引関係・相互依存関係  以下に例示された事実が継続的
  あり、かつ信用供与者が当該事実を知悉している場合

  a 販売業者が信用供与者に顧客をあっせん・仲介等をしていること
  b 販売業者が信用供与者の信用供与契約書式を提供していること
  c 販売業者が信用供与契約の作成に関与している

 →Bにはイ又はロの関係が認められますから、
   割賦販売法第2条4項の「特定の販売業者」に該当することになります。

2 次に、信用供与者には、特定の販売業者が行う顧客への商品の販売を条件
 として、顧客を通じて特定の販売業者にその商品代金の全部又は一部に相当
 する金額を交付するという認識があることが必要です。

  → 要するに、信用供与者に商品代金の立替払いを購入者を通じて販売業者
    に対し実行するのだという認識があることです。


   ☆ クーリングオフと清算関係〜改正割賦販売法では
 事例のケースで割賦販売法の適用があるとされた場合、Aがクーリングオフをする
には、法定書面の受領日から8日経過していないことが原則です。

しかし、金銭消費貸借契約書にクーリングオフに関する記載がないのが通常ですから、
法定書面を交付したことにはならず、結局何時でもローンのクーリングオフが出来る
ことになります。

 改正割賦販売法ではクーリングオフによる清算関係は、法第35条の3の10に依れば
以下のようになります。

イ AとBの清算関係
  Aが消費者ローンをクーリングオフすると、Bとの売買契約も自動的にクーリングオフ
 されたことになります。

  BはAに対する損害賠償請求は許されず、AはBに宝石を返還することになりますが、
 その返還費用はBの負担となり、BはAに対し宝石の使用利益を請求出来ません。

ロ AとCの清算関係
  CはAに対し違約金・遅延損害金などの損害賠償請求は出来ず、利息相当金額の
 支払いを請求することも出来ません。

  CがAから消費者ローンに関する金銭を受取っている場合は、速やかにAに返還しな
 ければなりません。

ハ BとCの清算関係
  BはCから受取った立替金をCに返還しなければなりません。

 このように改正割賦販売法では個別クレジット業者、販売業者、購入者の三者関係
を一括して清算出来る規定が、法第35条の3の10に置かれているのです。


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