職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第86号
               平成23年2月3日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

               今回の目次
        □ クレジット契約における名義貸しと判例



     □ クレジット契約における名義貸しと判例

  資金繰りが悪化した販売店がよく陥る罠が名義貸しによるクレジット契約です。
名義貸しには本人に無断で名義を冒用する場合と本人の承諾を得て行う狭義の名義
貸しとがあります。

  名義冒用の場合は本人の責任を問わないのが判例です。
一方、狭義の名義貸しの方は最近まで本人に不利な判決が出されていましたが、
平成に入り本人を救済する判決が出るようになっています。
以下ではそんな判例を整理して書きます。

1 東京高裁平成12年9月28日判決
 <事案> 中古車販売会社が消費者に虚偽を告げて名義を冒用し架空のオートローン
   契約書を作成して信販会社に申込み決裁された。 消費者は車の登録に名義
   を使用するものと思っていた。

 <裁判所の判断>  →クレジット契約は民法93条但書により無効とした
 イ 消費者にはクレジット契約の債務者となる意思がなかった。 消費者の真意で
   ないことを相手方が知り、又は知ることが出来た場合には意思表示は無効となる。
 ロ 販売業者(加盟店)は実質的に信販会社の代理人に準じた立場にあり、
   民法93条但書の解釈としては、販売業者がクレジット契約の相手方に契約締結の
   意思がないことを知り又は知るべかりし時には信販会社が知り又は知るべかりし時
   と同様に信販会社は契約の効力を主張することは出来ない。
     

2 福岡高裁平成16年7月6日判決
 <事案>  販売店が信販会社から立替金を不正に取得する目的の下、消費者に契約
  の組替えだと虚偽の説明をして白紙のクレジット契約書に署名捺印させた。
  資金繰りの為の新たな呉服の空売りであったことを消費者は知らなかった。

 <裁判所の判断>
  イ 立替払契約の成立は認められる。
  ロ しかし、消費者には表示上の効果意思と真意(内心的効果意思)との間に
   食い
違いがあり、これは要素の錯誤に当ることは明らかである。   よって、
    売買契約は錯誤により無効である。
  ハ 消費者は割賦販売法30条の4により錯誤無効を信販会社に対抗出来る。

3 長崎地裁平成元年6月30日判決
 <事案>  販売店がAとのクレジット契約が通らなかったのでBに対し支払いはAが
  するからと云ってBの名義を借り信販会社とクレジット契約を締結した。

 <裁判所の判断>
  イ クレジット契約は有効に成立している。
  ロ Aが支払うと思ったのはBの動機の錯誤に過ぎず要素の錯誤ではない。
  ハ しかし、売買契約は販売店とAとの間で締結されたものであるのに、Bと販売店
    との間で締結されたように仮装したものである。 
     よって、売買契約は虚偽表示により無効である。
  ニ 販売店の詐欺的言動によってBは名義を貸したのであり、虚偽表示による無効
    をクレジット会社に支払い停止の抗弁として主張することは信義則に反しない。


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