職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第91号
               平成23年7月20日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

               今回の目次
        □ マンション更新料条項に関する最高裁判決



     □ マンション更新料条項に関する最高裁判決

 
最高裁で今年に入り賃貸借関係の重要判決が続いています。
4月7日には敷引特約を消費者契約法に反しないと判断しましたが、今度は
1年ごとに2ヶ月分の更新料を取る特約が消費者契約法に反しないとする判決
7月15日に出しました。

  以下に判決からポイントを抜粋して書きます。

「 更新料は賃料と共に賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり、
その支払により賃借人は円満に物件の使用を継続することができることからすると、
一般に賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む
複合的な性質を有するものと解するのが相当である。

  更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどということはできない。
賃借人と賃貸人との間に、更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力に
ついて看過し得ないほどの格差が存するとみることはできない。

 
賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、
賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額すぎるなどの特段の事情がない限り、

消費者契約法第10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反し消費者
の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である」

                            (最高裁平成23年7月15日判決)

  ちなみに、本件の家賃は3万8千円で、更新料は7万6千円です。
原審では1年ごとに2ヶ月分の更新料を取る特約を消費者契約法に反し無効としていました。

また同様の訴訟でも、原審で無効とする方が有効とする方より上回っていましたから、
最高裁も無効と判断するのではというのが大方の予想でしたが、結果は裏切るものとなりました。

  流れに竿を指したように見えますが、そんなに心配は要らないという人もいます。
というのは、賃貸マンションは借り手市場で人口の減少によりこの基調は変わらないとされ
るからです。

  つまり、更新料を取っていたのでは誰も借りてくれないということになり兼ねないということです。

  最高裁は敷引特約有効判決の時もそうでしたが、「高額すぎるなどの特段の事情がない限り」
有効としているのです。

  しかし、最高裁は時代の先を見抜いていて更新料など取れない時代が来ると思っている
のかもしれません。
 
  国交省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を改訂して、契約時の明確な合意を
前提に退去時の修繕分担などを契約書に添付することを定めました。


  それまでは、貸主はよく説明せず借主はよく分からないまま、つまり契約時の合意内容が
あいまいのまま借主は契約書に署名・押印していました。  

だから、退去時にトラブルになったのですが、
今後は合理的で明確な契約書の作成ということが貸主に要請されて来ますし、一方
借主には近隣の情報を収集して高過ぎないかをよく吟味した上で貸主との契約交渉に
望むことが要求されることになると思われます。


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