職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第98号
               平成24年6月7日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

               今回の目次
        □ 判例が認める裁判上の請求

  民法第147条1号には時効中断事由として「請求」と記載されています。
この「請求」とは単に口頭や手紙で「支払いなさい」と請求することを指すのでなく、
判例に拠れば「裁判上の請求」のことを云います。

 「裁判上の請求」とは、訴訟の提起や支払督促の申立などの法的な手続きのこと
で、こういう裁判所を通した請求がない限り時効の中断とはならないのです。

 なお、内容証明郵便による請求を「催告」と云いますが、「催告」については暫定的
な請求(6ヶ月以内に訴訟の提起などの法的手続きを執ると催告時に時効中断効が
生じるからです)とされており、「請求」に含めるのが裁判実務です。

  さて「裁判上の請求」は却下又は取下げると時効中断の効力が失われます
が、
判例では「催告」としての効力は消滅しないとして6ヶ月以内に訴訟などを提
起すれば
時効中断効が生じるとしていますので注意を要します。

「 被上告人の先代が破産手続き上においてした右権利行使の意思の表示は、
 破産の申立が申立ての適法要件として申述された債権につき消滅時効の中断事由
 となるのと同様に、一種の裁判上の請求として、当該権利の消滅時効の進行を中
 断する効力を有するものというべきであり、かつ、
 破産の申立てがのちに取り下
げられた場合でも、破産手続上権利行使の意思が
 表示されていたことにより継続してなされていたものと見るべき催告としての効力は
 消滅せず


 取下後六ヶ月内に他の強力な中断事由に訴えることにより、消滅時効を確定的に
 中断することができるものと解するのを相当とする」
 (最高裁第一小法廷昭和45年9月10日判決)  →判決全文

 本案件の事実関係は、破産申立 →本訴の提起した →破産申立を取下げた
というものですが、破産申立の取下げ前に本訴の提起をしたことをもって破産手続き
の中で権利行使の意思を表示した時から時効中断効が生じると判断したのです。


 次に、株券の引渡請求訴訟を提起して、その訴訟の係属中に不当利得返還請求を
追加した場合ですが、最高裁は以下の要旨の判断を示しています。

「当初の請求には不当利得返還請求権の行使の意思が表れていたと見ることができ、
不当利得返還請求権についても催告が継続していたと解すべきであり
不当利得返還請求の追加により、右請求権の消滅時効について時効中断の効果が
確定的に生じたものと解すべきである
(最高裁第一小法廷平成10年12月17日判決) →判決全文

  このように、「催告」には内容証明郵便による請求のように裁判外でするものと、
裁判所の手続きの中で権利者が権利行使の意思を表示したことを以て裁判官が
「催告」として扱うものとがあるのです。


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