職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第99号
               平成24年7月17日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

               今回の目次
         □ ブラック登録についてのルールを確立せよ

  平成21年12月1日の改正割賦販売法では指定信用情報機関制度が創設され、
過剰与信・過量販売を防止する観点からクレジット会社には指定信用情報機関を
利用して支払能力を調査する義務が課せられています。

  ところが、その一方でクレジット会社による指定信用情報機関制度の悪用としか
思われないことが起こっています。  

  具体的に申しますと、支払い停止の抗弁を内容証明郵便で通知してクレジットの
支払いを停止した顧客に関し、クレジット会社がそれから6ヶ月位後にCICに「異動」
登録をしていたという事例があります。
 販売店 サンテックス株式会社(平成23年2月倒産)、 契約類型 訪問販売
 商品 グリーストラップ浄化装置      
     参考グリーストラップとグリーストラップ浄化装置の関係
  
  この事例では、「営業の為若しくは営業として」の契約でないので、販売店の倒産に
よりメンテナンスが債務不履行となったことが支払い停止の抗弁事由になると購入者
が主張したのに対し、

クレジット会社は商行為になるので割賦販売法の適用がないの一点張りで平行線を
辿っていたのです。

  クレジット会社からは和解の提案など一切なく、ただ一括支払の催告書を何度も送り
付けて来るだけだったといいます。

  そもそも、支払い停止の抗弁は割賦販売法で認められた正当な権利行使であり、
支払能力の問題とは無関係です。

  問題なのは、クレジット会社の担当者の判断で簡単にCICの「異動」登録が出来てし
まうことです。    そして、現行の信用情報の登録内容というのは、実にあっさりした
ものでコメントなどはなくただ「異動」と記載するだけだというのも問題です。

  この結果、この客から新規申込みを受けた別のクレジット会社の審査担当者がCICの
「異動」登録を見て支払能力のない客だと誤認して不決裁にしてしまう可能性が高いの
です。

  つまり、支払い停止の抗弁を行使されて平行線を辿っていた場合に、クレジット会社は
CICの「異動」登録をしてしまえば一気に優勢な立場に立ち得るということです。

  どういうことかと云うと、残債の一括返済を条件にCICの「異動」登録を抹消するという
要求を突き付けることによって、残額の全額回収の可能性が出て来るということです。
むしろ、顧客から先にそれを云い出して来ることの方が大かもしれません。

  しかし、このような信用情報登録制度の使い方は明らかに濫用であって、支払い停止の
抗弁を理由として「異動」登録すること自体が割賦販売法の趣旨に反することです。

  尤も、各クレジット会社の「個人情報の取扱いに関する条項」では、「申込者は、支払い
停止の抗弁の申出を行った場合、その情報が個人信用情報機関にその抗弁に関する
調査期間中登録され、個人信用情報機関の会員に提供されることに同意します」と記載
されていることが多いようです。

  この条項の趣旨は、和解などにより解決するまで「支払い停止の抗弁の申出」として
登録するが、延滞としては登録しないということです。

 尤もCICの説明に拠れば、支払い停止の抗弁により支払いが止まった場合には空白にして
コメントなども付けないそうです。 
  
 何れにしても支払い停止の抗弁で「異動」登録をするというのは有り得ない話なのです。
しかし、上記クレジット会社は顧客と一度も和解交渉することなく、督促を続けた後に
「異動」登録を行っており、この条項を自ら破っているのです。

  このようなクレジット会社による濫用が許される最大の理由は、信用情報登録制度の
登録に関する細かいルールが確立されていないことです。

  割賦販売法や省令には濫用を規制する条項は一切ありません。
経産省が当初予想し得なかったことが今起こっているのです。

  正当な理由による支払い停止の抗弁の行使があった場合、「異動」登録をしてはならない
旨の規定を設けるべきで、違反者には罰則を科すべきです。
 「異動」登録が許されるのは、和解が成立したのにそれを無視した場合とか、理由が正当
でなかったことが裁判で明らかになった場合などに限られるべきです。

  平成21年12月1日の割賦販売法の改正は、過剰与信・過量販売の防止という点からの
近年にない大改正でした。

  しかし、指定信用情報機関制度をクレジット会社が悪用して優良顧客の利用を制限したり
残債の全額回収の手段にしているとしたら、それはクレジット会社自身によるクレジットシス
テムの破壊行為であります。

  経済産業省には、信用情報登録に関するルールを確立してクレジット会社に対しては
細かな行政指導を実施して欲しいと切に願うところです。

  なお、クレジット契約に関する苦情は、下記で受け付けています。
東京都千代田区霞が関1-3-1
経済産業省消費者相談室  電話03-3501-4657
http://www.meti.go.jp/intro/consult/a_main_01.html


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