情報のコーディネーター  第151号
     
         令和5年9月16日発行
         窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。

                       今回の目次
         □  独居高齢者にとって穴のある介護保険サービス

 
  東京都豊島区では、令和2年(2020年)に65歳以上独居高齢者の割合が35.6%に達しました。

  全国的に見ても、独居高齢者世帯は2000年の303万世帯から20年後には672万世帯と2倍
以上も増加しています。

  独居高齢者世帯がこれだけ増えれば、孤独死する高齢者も当然増え.ることになります。

  孤独死は、「見守り」を強化することである程度予防出来ます。
しかし、「見守り」業務そのものに介護保険が適用されません。

 日本郵政(株)では、「見守り」を2500円(月1回、30分、安否と生活状況の確認が主)で実施
しています。


  独居高齢者で一番の問題は、室内で転倒して起き上がれなくなったり、病態の急変により
病院への救急搬送が必要な状態になる頻度が高いことです。

  もし誰にも連絡出来ず、誰にも発見されないまま時間が経って行くとすれば、孤独死に至る
危険も非常に高まります。

  独居高齢者にはこういう危険が常にあるのだとすれば、月1回程度の「見守り」では全く不
十分です。

  これを防ぐには週に3回程度の「見守り」が必要と思われ、これを日本郵政(株)に依頼する
としたら、月3万円、年に36万円の自費負担を覚悟しなければなりません。


  ここに介護保険の「穴」があるのです。

  即ち、独居高齢者の生活の安全をパーフェクトに確保するために設計された制度ではない
のです。
 それを達成したいのなら、それ相応に自費負担を強いられる制度になっているのです。



  もともと介護保険は利用者の自立支援を目的としたサービスです。

 「自立支援」とは何かですが、これは本人が自宅で自立した生活を送れて将来寝たきり
にならないにすることを云います。

 従って、自立支援には該当しない以下の業務には利用出来ないのです。

  ・ 酒など嗜好品の買物代行、
  ・1時間以上も掛るお店までの買物代行、
  ・通院に同行したヘルパーによる院内での待ち時間の付添い、
  ・介護タクシーを利用した場合の運転手による院内付添いなど


  なお、本人の病態により、ケアマネがヘルパーの待ち時間の付添いに保険適用を認める
ことは可能です。

 その場合でもヘルパーが診察室に同席したり、最新の状況を医師に伝えたり、
診察の結果をメモに取ったりすることは出来ません。




  
  同伴した親族や知人を同席させることは可能ですが、ヘルパーを同席させるしかない場合
は自費負担するしかないのです。


  また、介護タクシーの利用は、要介護1以上で移動時に介助を必要とする人に限られ
ています。
 
  しかも、運転士は病院内の付添いが原則出来ず、搬送時の同乗者はヘルパーに限られ、
家族は同乗出来ないのです。

  その為、病院内の付添いに保険適用が例外的に認められる場合でない限り、ヘルパー
に付添いを依頼する場合は自費負担になるのです。


  このように介護保険サービスには利用制限があり、病院での付添いが自費負担になる
ことから、高齢者の中には介護タクシーを嫌って、知人に謝礼を支払って搬送と付添いを
依頼している人がいるのも事実です。

 
 

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