情報のコーディネーター 第76号
平成24年5月10日発行
窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。
今回の目次
□ 本音を語り始めた医師たち
自然死について
社会保障費は年々増加の一途を辿り、平成24年度予算では26兆円に達しています。
一般会計の歳出総額が90兆円でその内国債費が21兆9千億円、地方交付税が16兆
5千億円です。
それらを控除した基礎的財政収支対象経費68兆3千億円に占める社会保障費の
割合は51.5%になります。
他の経費は横ばいに推移しているのに社会保障費だけが増え続けている理由として
社会保障費の自然増があります。
中でも医療関係の国庫負担は毎年数千億円規模で増えており、その三分の一が
高齢者医療費です。
さて、中村仁一という医師が「大往生したけりゃ医療とかかわるな」という本で、
自然死をすすめています。
要するに、死ぬ時期が訪れた老人は延命治療など受けずに自然死を選ぼうと
提案しているのです。
自然死というのは医療措置を行わないことで、夢うつつの気持ちのいい穏やかな
状態の中で死んでいくことです。
しかし、現在、死期を迎えた高齢者にはパターン化した医療措置を行っているので
自然死をむしろ邪魔しているという。
自然死はなぜ気持ちのいい死なのでしょうか。
死が近づくと食べなくなり喉も渇かなくなるといいます。
つまり、飢餓と脱水が死の直前の状態であり、飢餓により脳内にモルヒネ様物質が
分泌されて幸福な気持ちにさせ、脱水により血液が煮詰まって意識をぼんやりと
させることが夢うつつで気持ちいい心地にさせるのです。
フランスでは「老人医療の基本は、本人が自力で食事を嚥下できなくなったら、
医師の仕事はその時点で終わり、後は牧師の仕事です」と云われています。
死期の来た老人に対する延命措置などは苦痛を強いるたけであり、医療を
そんなことに使うべきではないと中村仁一医師はいうのです。
がん死というのも自然死のひとつで、何も治療しない方が穏やかに死ねると
いいます。
今はがんを治療により少しでも延命させようとして逆に拷問のような苦痛を
与えてから死なせているという。
これを読んで、私は現場の医師も遂に本音を語り始めたと思いました。
人間は誰でもいつか死ぬのですから、その時は自然死で穏やかに死にたい
ものです。
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