インターネット行政書士のフロンティア戦略  第112号   
                 平成25年12月10日発行 
      
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                  今回の目次
             □ 特殊詐欺と名簿売買
  


  振り込め詐欺などの特殊詐欺が猛威を奮っています。   本年の被害額は過去最高
の400億に届きそうだといいます。

  なかでもオレオレ詐欺が急増中で、その8割が現金やキャッシュカードを受け取りにくる
受取型です。
また、被害者の8割が東京、神奈川など首都圏に住み、被害者の7割は65歳以上です。

  警視庁も検挙に力を入れており、「だまされたふり作戦」を呼びかけています。
この手の電話があったら騙されたふりをして警察に連絡し、犯人が現れたところを逮捕す
るという作戦です。

  しかし、判断力が鈍っている高齢者はこれが詐欺だと気付かないから被害に遭うのです。
「だまされたふり」などという高等戦術を思い付く高齢者がどれだけいるのでしょうか。

  オレオレ詐欺では息子や孫になりすまして、「会社の金を使い込んだ。 今から金を取り
に行くから用意してくれ」「今風邪をひいて喉の調子が悪い」などと電話を掛けて来ます。

  まず思うのは、この家にサラリーマンの息子や孫がいることをどうして知っているのかです。

  この前、犯人グループから多種多量の名簿が押収されました。
名簿のタイトルは、「株取引経験者」「大手企業退職者」「訪問販売」「セレブ婦人」「未公開
株購入者」など実にさまざまで、その中に125万人分の個人情報が載っていたのです。

  これらの名簿は、名簿業者を通じて広く出回っているのです。   原則として名簿の売買
が禁止されていないからです。

  つまり、個人情報保護法23条2項により、本人から削除の申出があった場合に必ず削除す
ることにしている場合であって、次の事項があらかじめ本人に通知し又は本人が容易に知り
得る状態に置いている時は、個人情報取扱事業者は本人の同意なく個人情報を第三者に
提供することが認められているのです。

  イ 第三者への堤供を利用目的とすること
  ロ 第三者に堤供される個人データの項目
  ハ 第三者への堤供の手段または方法
  ニ 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者堤供を停止すること


  オレオレ詐欺の実行犯はこの名簿からサラリーマンの息子や孫がいる高齢者宅を見つけて
電話して来るのです。   これだけの被害者が出ているということは、名簿から狙える高齢者宅
がなりの確率で見付かっているということです。
  住民票や戸籍などの個人情報を本人以外の者が役所から入手することは、困難になってい
ます。  行政書士には代理請求権がありますが、相続などの業務に関連する限度で請求出来
るに留まります。  
  折角役所が個人情報の不正取得を窓際で堰止めているのに、名簿売買が原則自由である
為にそれが骨抜きにされているのです。

 警察はオレオレ詐欺師から押収した名簿の記載者を個別訪問して注意喚起すると云います。
地域には民生委員がおりますから、民生委員にも名簿を渡して見守りをして貰うのもいいと思
います。
しかし、私は名簿業者についても古物商や風俗営業と同じように許可制にして警察の管理下
に置く一方、名簿売買を原則禁止にすべきと考えます。
  個人情報が悪用される危険という点では、名簿と戸籍謄本等に実質的な差はないと思うから
です。

  オレオレ詐欺師が名簿を容易に集められるのは、名簿売買が放任されているからです。

  個々の名簿の売買も警察への届出が要ることとし、ダイレクトメールなどの商用目的は原則
禁止とすべきです。  

  こうでもしない限り、オレオレ詐欺の根元を断つことは難しいと考える次第です。


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