インターネット行政書士のフロンティア戦略 第123号
平成27年4月30日発行
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。
今回の目次
□ 親に損害賠償請が出来ない場合の保険
最高裁が平成27年4月11日に民法第714条の親等の監督責任に関し、次のような初判
断を示しました。
「通常は人身に危険が及ぶものとみられない行為によってたまたま人身に損害を生じさ
せた場合、当該行為について具体的に予見可能であるなど特別の事情が認められない
限り、子に対する監督義務を尽くしていなかったとすべきではない」
(平成27年4月9日最高裁第一小法廷判決) →判決全文
これまで、子供が起こした事故の責任を親権者が免責されることは殆どありませんでし
た。 今回の最高裁判決は、無過失責任と変わりなかった民法代714条の親の責任に
関し判例変更したのです。
しかし、これまでのように親に損害賠償責任がある場合でも、親が契約している自動車
保険の特約で殆んどカバー出来るケースが多いようですから、現場では混乱が起きてい
ないようです。
自動車の任意保険では、「自動車事故以外の日常生活での事故」、つまり本人又は
家族が過失により他人を損害を与えた場合(法律上の損害賠償責任が発生した場合)
の賠償金を保険会社が全額負担する個人賠償責任特約を殆んどの契約者が締結し
ています。 しかもその特約の保険料は、極めて低廉なのです。
「自動車事故以外の日常生活での事故」とは、具体的には家族が自転車を他人にぶつ
けて怪我されたとか、飼い犬が他人を噛んで怪我させたといったケースです。
先の最高裁判決の事例は、子供が校庭で蹴ったサッカーボールが校庭の外に飛んで
行ってたまたまバイクで通りかかった老人がボールを避けようとして転倒し怪我で入院中
に誤嚥性肺炎で死亡したというケースですが、これは自動車事故以外の日常生活での
事故として個人賠償責任特約が適用される筈です。
また、特約を締結していなかったとしても今直ぐ契約が出来ます。
ですから、先の最高裁判決が出ても、親が自動車保険でこの特約を締結すれば何の心配
も要らないことになります。
では、親に損害賠償責任がないとされた場合、被害者の救済はどうなるのでしょうか。
この場合、被害者が契約している自動車保険で「人身障害補償特約」に加入してい
れば、保険会社から保険金の支払いを受けることが出来ます。
「人身障害補償特約」とは、交通事故以外の事故、つまり電車や歩行中やエレベーター
内での事故にも保険金が支払われる他、自動車事故で怪我をした場合に自分の過失分
について補償してくれるというものです。
例えば、交通事故で怪我をして5000万円の損害を受けた場合、自分の過失が7割と
算定された場合に、5000万円×0.7=3500万円を保険会社が支払ってくれるのです。
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