インターネット行政書士のフロンティア戦略  第140号   
                      平成29年10月3日発行 
           
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                         今回の目次
                    □ 
110年振りの刑法改正


  性犯罪に関する刑法が明治40年(1907年)に制定されてから110年振りで改正され、7月13日から
施行されています。 また、3年後には規定の見直しがなされます。

  告訴状・告発状の作成業務と関わる本改正について、以下に整理しました。

1 強姦罪の名称が「強制性交等罪」に変更されました。

   被害者には男性も含めることになり、性交等には膣性交や肛門性交や口淫性交も含まれます。


2 罪刑が引き上げられました。
 
  強姦罪の法定刑の下限を5年に引き上げ、死傷した場合には6年以上の刑にすることが出来
 ます。


3 親告罪の規定が廃止され、被害届の提出でよくなりました。

  親告罪の規定は性犯罪の不処罰につながる機能を果たして来たとの批判が背景にあります。


4 監護者が支配的な立場を利用して18歳未満の子供と性交したり、わいせつ行為を行った場合、
 暴行や脅迫がなくても強姦罪が成立することになりました。

  暴行・脅迫の要件が撤廃されたのです。


 さて、今回の改正でも国際的に見た場合には、まだ以下の課題があるとされます。

   諸外国では同意なき性行為を広く処罰する方向で改正が進んでおり、セクハラによる性行為や
  暴行・脅迫のない同意なき性行為も犯罪とされている国が多い。

   日本で問題になっているセクハラ、性接待の強要、AV出演強要などを処罰の対象とする為にも、
  意に反する性行為を広く処罰する法制度が求められているのです。


 序に
強制わいせつ罪の成立に「性欲を満たす意図」が必要かどうか争われた刑事事件に関し、判例
変更の可能性が出て来ましたので触れて置きます。

  強制わいせつ罪のわいせつの行為に関し、最高裁はこれまで「性欲を満たす意図」で行う違法行為
とし、主観的意図必要説に立っていました。  

  これに対しては、客観的に被害者の性的羞恥心を与え、被害者の性的自由を侵害している場合に
は犯人の主観のいかんに拘らず、強制わいせつ罪を認めるべきだという反対説(性的意図不要説)
が強かったのです。 

  近時、一審と二審とも被告人に性的意図がなかったと認定しなから強制わいせつ罪の成立を肯定し
た判決があり、上告審では大法廷で審理されることになり、半世紀振り最高裁昭和45年1月29日
判決
が判例変更される可能性が出て来たのです。



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