インターネット行政書士のフロンティア戦略  第156号   
                    令和2年7月13日発行
         
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                      今回の目次
              □
 こんなカーリース契約はキャンセルせよ



  カーリースというマニアックな契約が一般消費者の間で広がっています。

  カーリースが売りにしているのは、新車にボーナス併用で毎月1万円で乗れる、頭金
が不要、諸経費(自動車税などの税、自賠責保険料、任意自動車保険料、車検代)の支
払い代行などです。
 
 車のクレジット契約で得られなかった欲求をカーリースは満たしてくるという訳です。

 しかし、このカーリース契約というのが規制する法律がないこともあって、実に分かり
難いのです。  以下に、カーリースの実態を書きます。

1  リース会社が車を買って客に貸すのがカーリースですから、その法的性質はアパー
 トの賃貸借と同じ賃貸借契約です。

   ところで、アパートの所有権は大家にあり、借主は毎月賃料を支払います。 経年
 劣化による破損損耗は大家の費用負担で修理する必要がありますし、退去時の借主
 の原状回復義務は判例で借主の故意過失による破損損耗箇所の修繕に限定されて
 います。

   また、アパートの場合、大家が毎年確定申告をして所得税を支払います。

   しかし、カーリースの場合、自動車税その他の各種税金は全て借主負担にされてい
 ます。
   本来、自動車に関わる税金はオーナーが負担すべきものの筈ですが、カーリース
 では借主負担になっているのです。

   契約自由の原則により当事者が合意すれば借主負担にしても構わないのですが、
 実際には、カーリース契約書の雛形で借主負担にされているのです。


2  設定残価が控除されていないリース支払総額

   設定残価とは、7年後にリース会社に返却する際の下取り価格です。
 この設定残価を借主が支払えば車の所有権を取得出来るという建前になってぃます。

   新車の当初の車両価格と設定残価の差額がリースにより借主が収益した部分なの
 すから、この差額がリース料とされるのが当然と云えば当然です。

  しかし、実際には車両価格から設定残価が引かれていないのです。  

  借主に下取り価格まで支払わせている以上、リース終了後は車の所有権を借主に
 移転させるのが筋です。  車を返却させるというのは、リース会社の不当利得です。


3 高額な任意自動車保険

   借主はそれまで車に乗っていれば、任意自動車保険に加入している筈です。
 リース契約で新車に乗る場合も、この保険が継続して適用可能です。

   然るに、借主は騙されて解約させられ、高額な任意自動車保険('7年分一括払い 
 約62万円位)に加入させられると、月額リース料が一気に跳ね上ってしまいます。


4 販売店のキャンセル妨害行為

   リース契約を納品後に中途解約することは出来ませんが、納品前であれぱ入居
 前の賃貸借契約と同じで貸主と合意解除(キャンセル)が出来るのは当然です。

   ある顧客の話によれば、「新車の軽自動車に月々定額1万円(税別)から乗れる、
 ただしボーナス併用」
という広告を見て販売店に行き、月額リース料10,000円+
 ボーナス2(15,000)の併用を希望し
たにも拘らず、
 月額28,000(ボーナス併用な
)とする契約書を作成したので、翌日にキャン
 セルしたいと販売店に申入れたところ、
納車前なのにキャンセル出来ないと拒否さ
 れて、
 カーリースが初めてという消費者はそうなのかと誤信し、リース会社に対しキャンセルの
 通知をしないでいて、結局不本意なリース契約に縛られてしまったとのことです。

  リース会社と提携関係にある販売店のキャンセル妨害行為は、重過失による不法
 行為であり、リース会社は損害賠償責任を負うことになると考えられます。

  判例によれば、リース会社には販売店を監督する注意義務があり、顧客に適切な発問
 等をしていればキャンセル妨害を容易に知り得たと考えられるからです。


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