インターネット行政書士のフロンティア戦略  第 165号   
                      令和3年11月9日発行 
           
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                         今回の目次
                □ 
現代貨幣理論(MMT)とデフレ克服策


  平成31年6月1日発行の第149号で銀行の信用創造とMMTついて書きましたが、
説明に不十分なところがありましたので、今回はその訂正版を発行致します。

  日本は20年以上もデフレ下にあり、経済成長していない唯一の先進国です。

この間、日銀は金融緩和策により銀行保有の国債を多量に買って(買いオペという)、市中
銀行の日銀当座の準備預金を膨大に増やし、銀行の貸付限度額が大幅に増えて低金利
になったにも拘らず、銀行による貸出は一向に増えずインフレに転換しませんでした。

  その一方、政府は国債残高が1000兆円を超え財政危機だとして、毎年の新規国債発行
を削減して公共事業を減らす財政政策を採りました。

  デフレ(物価が下落し通貨価値が上がる)とは、商品が売れず賃金は上らず、企業は利益
を投資せず内部留保に回し、人は通貨を消費より貯蓄に回し、その結果需要が更に縮小す
る悪循環に陥り経済が成長しなくなった最悪の状態です。

  これまでの主流派経済学では、需要が供給を下回るデフレ下では、貨幣供給量を増やす
金融政策を採れば自然に需要が増えてデフレを克服出来るとされていました。

  しかし、日本でそうならなかったのはなぜか。


  主流派経済学は間違いであり、デフレ対策は政府の積極財政政策で行くしかないとい
うのがMMT(現代貨幣理論)なのです。 

  MMTのキーポイントは、銀行の信用創造を基礎に置いていることです。
MMTは、銀行の信用創造という昔からの事実を素直に認めよと云います。


  さて、銀行の信用創造とは何か。 

 銀行は預金者から預金を集めて利息を支払っていますが、銀行が事業者に貸付して
いる額が預金額の何倍もあるので、受取利息が支払利息より何倍も多く、それが利益
になっています。

 預金額より何倍も貸出することを銀行に可能にしているのが、信用創造なのです。

つまり、銀行員が預金通帳に貸付金額を記帳するだけで貨幣という負債が発生し、
これを銀行の信用創造と呼んでいるのです。


  日銀の市中銀行に対する貸付(銀行から国債を買取ることで行われている、買い
オペという)の場合も、市中銀行の日銀当座預金通帳に貸付額を記帳するだけです。

  何れも、預金の発生(通貨の発生)という点で信用創造なのです。

 
 ところで、日銀当座とは何か。

 市中銀行が日銀から借入する際、借入金の一定率以上を準備預金として日銀当
座に預けることが法律で義務付けられているのです。

 この準備預金というのは、市中銀行間の短期決済などに利用され利息が付きませ
ん。
しかし、国債を買うと利息が付くので、市中銀行は潤沢にある準備預金で国債を買っ
ているのです。

  市中銀行が国債を買うと、代金は政府の日銀当座預金通帳に記帳され、その金
額は政府の歳入に当てられ、政府が公共事業を発注すると、政府からは政府小切
手で受注者に代金が支払われます。

  受注者が政府小切手を市中銀行に持ち込むと、市中銀行は受注者の預金通帳
に小切手の金額を記帳し、日銀には代金取立を依頼します。

  日銀が政府に政府小切手を提示すると、政府の日銀当座から市中銀行の日銀
当座に代金相当の預金が振り替えられて、国債を買った時の代金が市中銀行に戻
って来ます。

  こうして、市中銀行は日銀当座の準備預金を使って新規発行の国債を何回でも
買うことが出来るのです。

  円建ての国債ならいくら発行しても財政破綻はしないというのも、MMTの主張です。
政府は通貨発行権を持っているので、紙幣を幾らでも刷れるからです。

  ギリシャやアルゼンチンなどが財政破綻したのは、何れも自国通貨建ての国債で
はなかったからです。


  日本では財政破綻の心配がなく、銀行の準備預金が潤沢にあり、低金利にある
にも拘らず、民間の資金需要が全く増えずデフレから抜け出せないのはなぜか。
 
 準備預金が増えた分が国債購入に消化されてしまい、市中銀行の貸出を増やす
ことになっていなかったのです。

 つまり、日銀の金融緩和策(買いオペ)では民間の貨幣供給量を増やすことには
ならなかったのです。

  民間の貨幣供給量が増えなければ、需要(消費と投資)が増えずインフレになら
ないのは当たり前の話です。

  民間の貨幣供給量を増やすには、政府の財政赤字を拡大して公共投資を増や
し民間の銀行預金を増やす積極的財政政策が必要だったのです。

  しかし、日本は過去20年間、消費税を上げ、財政支出を抑制するという真逆の
政策を採っていたのです。


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