行政書士もぐもぐ......自分流情報発信  第59号
             平成20年7月4日発行 

            今回の目次
        □ 離婚後300日以内出生問題って何?
        □ 無戸籍2世の出生届って何?



    □ 離婚後300日以内出生問題って何?

  無戸籍の児童がいるという新聞記事を時々目にします。  
無戸籍児童が発生するのは、出生届が提出されていないからですが、
その奥にあるのがこの離婚後300日以内出生問題なのです。

  民法第772条第1項では、「離婚後300日以内に生れた子は前夫の子とみなす」と
規定しています。  
  どういうことかと云いますと離婚後300日以内に生れた子が再婚相手の子だ
と分かっていたとしても、家庭裁判所に親子関係不存在確認調停を申立てて、
摘出推定を覆して貰わない限り再婚相手の子としては出生届が出来ないのです。 

  そして、前夫との連絡が取れなくて調停を起せなかったり、
前夫の子として届けるのは嫌だという場合に、
出生届は未提出のまま放置されてしまう訳です。
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  無戸籍児童の存在を知りながらずっとこの問題を放任していた法務省も、
平成19年5月にやっと通達を出しました。
  離婚後の妊娠を医師証明書で確認できる場合には、
実際の父の子や非摘出子としての出生届を認めるとしたのです。

  しかし、離婚後の妊娠は1割に過ぎないとされていますから、
根本的な解決にはなりません。 実態として長期間の別居後の離婚や家庭内暴力
で離婚手続きが遅れて、離婚前妊娠になってしまうことが多いからです。
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  今年の6月に最高裁も動いて全国の家庭裁判所に対し、
認知調停により無戸籍児問題の解決が図れることを周知しました。 
  つまり、前夫が加わらなくてもいい認知調停により現夫の子として認めることが
出来るとの最高裁判断が示されたのです。 そして、裁判官や調査官の研修に
乗り出すという。
  この周知を知って、7月1日にはもう無戸籍児の母4人から申立がありました。



   □ 無戸籍2世の出生届って何?

  6月11日にある自治体によって無戸籍2世の出生届が受理されたとの新聞記事が
載っていました。
 それは一体どんなことか記事を整理して書きます。

<事例>  女性の母親Aが離婚後73日後に女性Bを出産
             →出生届は未提出だった。  女性Bは無戸籍
       女性Bが昨夏にDと結婚した  → 無戸籍の為、婚姻届を出せず
       女性Bが事実婚の状態で妊娠し、男児Cを出産した。
                            ↓
   法務省は無戸籍2世の救済の為、「無戸籍者の場合、他の書類で身分事項を
 確認出来れば、婚姻届を受理出来る」との見解をはじめて自治体に提示。
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           自治体はAの戸籍などを提出させて婚姻届を受理。 
           新しくできた戸籍に、CをDの長男として記載。
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    しかし、Bにはもともと戸籍がない為、新しい戸籍にはBの記載がない。
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  今回の手法では、母子家庭の子どもは救えないといいます。
婚姻や出生の届出の証明方法を柔軟にして戸籍至上主義を改めるべしとの
意見もあります。
  民法第772条は明治31年(1898年)の施行から改正されていませんが、
今突然この抜本的な見直しの議論が起こっているのです。
           


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