インターネット行政書士のフロンティア戦略  第79号   
                 平成22年7月17日発行 
    民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                今回の目次
          □ 債務引受の法律関係
             ☆ ローン残債の引受け
             ☆ 自動車下取りの仕組み



   □ 債務引受の法律関係

      ☆ ローン残債の引受け
 クレジット契約やリース契約の残金がまだ残っている時に、業者から残金を弊社で
支払いますからと云って、新たなクレジット契約やリース契約を勧誘されることがあります。
これは代金の割引と同じ効果がありますから契約者には大変有難い提案です。

 このように債務が同一性を保持したまま引受人に移転する契約を債務引受といい
ます。  民法には規定されていませんが判例では有効とされています。

 広義では免責的債務引受、併存的債務引受、履行引受の3つのタイプがあります。
以下ではこの3つのタイプを整理して置きます。
 
イ 免責的債務引受
  債権者・債務者・引受人の三者間で契約する他、債権者と引受人の二者間でも
 債務者の意に反しない限り認められます。 

  次に、債務者と引受人の二者間で合意した場合には、債権者の追認を要件に
 効力が発生するとされています。

  効果としては、債務は引受人に移転し旧債務者は債務を免れることになります。 
 引受人は債務に附着する抗弁事由を債権者に対抗出来ます。 
  しかし、当事者たる地位の承継ではないので、旧債務者に属する取消権や解除権
 は移転しません。
  また、保証債務や第三者の設定した担保物権は、保証人や設定者の同意がない
 と移転せず消滅するされます。

ロ 併存的(重畳的)債務引受
  債権者と引受人との契約では、債務者の同意を要せずまた債務者の意思に反し
 ても構わないとされます。

  債務者と引受人との契約では契約内容の趣旨により次の2つに分類されます。
  ・ 引受人がその債務の履行を引受けた場合
     →引受人は債務者に対してその債務を弁済すべき義務を負担するに留まり、
      債権者はその引受人に対して直接に債権を取得しないのを原則とする。
      つまり、これは債務引受ではなく後で述べる履行引受である。
  ・ 債権者に直接債権を取得させる趣旨の場合
     →第三者のための契約となり、履行引受とはならない(判例・通説)。
 
  効果として、従来の債務者はその債務を免れず、引受人はこれと併存する同一
 内容の債務を負担し、従来の債務者と引受人の関係は連帯債務とされる(判例・通説)。

ハ 履行引受
    債務者と引受人とで契約される。
   引受人は債務者に対してその債務を弁済すべき義務を負担するに留まり、
   債務の移転はなく従来の債務者は免責されない。

  効果としては、引受人は債務者に対しその債務を代わって履行すべき債務を負担
  する。 引受人が債務者に対し履行しない時は、債務者に対し債務不履行の責任
  を負うに過ぎない。
   

    ☆ 自動車下取りの仕組み
  クレジット契約の場合はクレジット代金が完済されるまで商品の所有権がクレジット
会社に留保されていますし、車検証の名義もクレジット会社です。

 ですから、クレジットの支払が完済になるまでは車を譲渡することが出来ない筈ですが、
自動車買取専門店ではクレジット残債がある車もちゃんと買い取ってくれます。

つまり、買取契約の中で債務引受の契約をしていて業者がクレジット残債を支払った
上で譲渡を受けるからです。   クレジット残債が買取額より多い場合でも、
客が借換えローンを利用出来れば問題なく買い取ってくれます。

この仕組みは簡単です。
1 買取額が残債より多い場合
    専門店がクレジット会社に残債を支払い、客は買取額から残債を引いた金額を
   受取ります。
2 買取額が残債より少ない場合
    例えば、 買取額 100万円、 クレジット残債150万円
   業者はクレジット会社に100万円を支払い、残りの50万円については客が
   ローンの借換えにより支払うことになります。  



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