インターネット行政書士のフロンティア戦略  第81号   
                 平成22年9月22日発行 
    民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

              今回の目次
        □ ファイナンス・リースと平成20年税制改正
            ☆ 損金扱い出来なくなったリース料
            ☆ リース特別法の必要性



   □ ファイナンス・リースと平成20年税制改正

      ☆ 損金扱い出来なくなったリース料
 平成20年4月1日にファイナンス・リースに係る大きな税制改正がありjました。
以後は所有権移転外ファイナンス・リース(通常のリースです)の毎月のリース料に
ついて損金処理が出来なくなったのです。

 どういうことかを簡単に整理します。
<改正前>
 賃貸借として処理していました。 
  →リース債務を賃料債務として経費計上し、減価償却を免れた。
                  
<改正後>
 売買取引として処理することになりました。 
  →リース料総額をリース資産として計上し、資産をリース期間定額法で
   減価償却する(支払ったリース料だけ減価償却費として費用計上する)
   ※ ただし、非上場企業は特例措置として賃貸借としての処理が可能です。

 このような税制改正の背景には国際会計基準があります。
平成5年に公表されたリース会計基準では、原則が資産計上で賃貸借処理は
例外的処理とされていましたが、平成20年のリース会計基準ではこの賃貸借
処理も認めないことになったのです。

 一方、税務では平成5年以降も処理の簡便な賃貸借処理しか認めていません
でした。 しかし、平成20年4月1日の税制改正でついに非上場企業を除き資産
計上が原則とされるに至ったのです。

 税制が国際会計基準に統一されて、つまりリース資産が資産計上されることで、
これまでのように総資産が実態より少なく計上されているということはなくなりました。 

 本税制改正は外国の企業との比較可能性の確保、つまり財務分析の国際化
という外圧がもたらした必然的結果だったのです。


      ☆ リース特別法の必要性
 平成20年4月1日の税制改正前までは、リース業者はリース料の損金処理を
リースの最大の「売り」にしていたと思います。

 しかし、今では大口の取引先である上場会社の場合、リースにする税務・会計上
のメリットは基本的になくなっています。   これを以って、ファイナンス・リースは存
亡の危機に瀕しているとする論者がいるほどです。

 リースの税務・会計処理が国際化された反面、全く未整備のまま放置されている
のがリースを規制する法律です。

 適用される唯一の法律は民法である為、リース契約では一方的にリース会社
に有利な内容になっています。
尤も国会の民法改正検討委員会ではファイナンス・リースを新たな典型契約とする
方向で検討がなされてはいます。

 もし、ここでリース契約が賃貸借契約でないとされれば、非上場企業で認められて
いる賃貸借としての税務処理も認められなくなるでしょう。

 最近、詐欺まがいのホームページ・リースで中小事業者に被害が発生しています。
これはホームページ作成という役務ではリース契約の対象にならない為、必要もない
ソフトを持って来て名ばかりの高額なリース契約を結ばせるというものです。

 こんなホームページ・リースに大手のリース会社までが手を染めているのを見ると、
やはりファイナンス・リースという業種は衰退の方向にあるのかと思いたくなります。

 いずれにしても、ホームページ・リース被害は法の隙間で起こっている悲劇です。
中小事業者がリース契約を選択する理由などなく、最初からクレジット契約でよかっ
たです。

 リース契約について自営業者が無知であることをいいことに、悪徳なリース提携
訪問販売業者がろくな説明もせず生き馬の目を抜くようにしてリース契約を取り付け
ているだけなのです。

 そうであるとすれば、クレジット契約に適用されるクーリングオフ、支払い停止の抗弁、
不実の告知による取消などの保護がホームページ・リースの被害者も受けられて然る
べきです。
 
 今直ぐにもリース特別法を制定すべではないかと切に思うところです。



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