インターネット行政書士のフロンティア戦略 第83号
平成22年12月16日発行
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。
今回の目次
□ 総量規制の対象とならない貸付、
懸念すべきこと
□ 総量規制の対象とならない貸付、懸念すべきこと
改正貸金業法が平成22年6月18日から完全施行され総量規制が始まっています。
ところで、この総量規制は全ての融資を対象としている訳ではありません。
では、総量規制の対象とならない融資にはどのようなものがあるのでしょうか。
1 銀行カードローン
改正貸金業法は消費者金融業者を規制する法律であり、総量規制は消費者金融
業者による過剰貸付を抑制する為導入されたものです。
即ち、消費者金融業者の安易かつ過剰な貸付が多重債務者問題の根本原因だと
いう認識から、消費者金融業者による貸付の上限を年収の三分の一までとしたのです。
よって、貸金業法が適用されない銀行カードローンは総量規制の対象外となります。
銀行カードローンは年収が一定以上あることが発行条件にしており、その意味では
利用者が限定されていました。
しかし、総量規制を銀行カードローンの拡大チャンスだと考えて審査基準が緩められ
たりすると消費者金融の二の舞を踏む危険があります。
2 クレジットカードによるリボルビング払い(リボ払い)のショッピング
消費者金融会社、クレジット会社、銀行が会員に発行しているローンカードには、
キャッシング機能とショッピング機能が付いています。
キャッシング機能はATMで現金の借入と返済を可能にし、ショッピング機能は
販売店での商品購入を可能にします。
リボ払いというのは毎月の支払額を5千円〜2万円程度に抑える代わりに支払期間
を長期にする支払方法です。 このリボ払いショッピングには割賦販売法が適用され
て総量規制の対象にはなりません。
そこでりリボ払いのショッピングが総量規制により増加すると考えられます。
リボ払いの場合、手数料は年15%程度と高いにも拘らず支払総額が増えても毎月の
支払額が変わらないので、借金が増えたという実感が薄れるという面があります。
クレジット会社の支払能力調査義務はカード発行時、極度額増額時、カードの更新時
だけで、カード利用時には調査義務がありません。
調査の方法も自己申告と信用情報機関の利用に限定され、支払可能見込額の算定は
クレジット会社の自主判断になります。
また、クレジット会社は消費者金融系の信用情報機関との情報交流が事故情報に限ら
れている為、他社の借入れ状況は自己申告に頼らざるを得ません。
そして新規カードは一人で一度に何社も作れる為、カードを一度に使えば一気に
支払可能見込額を超えたクレジット債務を負担してしまう危険があります。
ところで現在、「クレジットカード現金化」という商売があります。
クレジットカードで買った商品をすぐ現金化してくれるので現金に困っている者には大変
重宝な面がある為、総量規制により消費者金融を利用出来なくなった客が流れると予
想されます。
しかし、手渡される現金は購入代金から2割近い手数料を控除した残額に過ぎません。
一方クレジット債務には年15%程度のクレジット手数料が含まれており、
結局、これは利用客の債務を益々膨張させ支払いを困窮させてしまう悪徳な商法です。
しかし、現在のところ規制する法律がありません。
3 法人向けの貸付、法人向けの保証、 個人向けの事業資金
総量規制は個人の借入総額を規制するものです。
ですから、法人向けの融資は対象外となりますし、個人が事業用資金として借りる場合、
(つまり個人事業者に対する貸付)も対象外です。
また、保証は借入そのものではありませんから法人向けの保証や個人向けの保証も
象外です。
4 住宅ローン、自動車ローン、緊急時の医療費ローン等
総量規制から除外されるもの、総量規制の例外とされるものについては、
貸金業法施行規則に規定されています。 →参照
除外されるものの代表例は不動産購入又は不動産の改良の為の貸付、その為の
つなぎ融資で、通常の住宅ローンの他、家屋の耐震工事・リフォーム・増改築の為
の貸付があります。
緊急時の医療費ローンは総量規制の例外とされるもので、貸付けの残高に算入
されますが、その部分についての返済能力があると判断されれば貸付が受けられ
ます。
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