行政書士もぐもぐ......自分流情報発信  第7号

              平成15年9月3日発行 


            今回の目次
        □ やっぱり契約書がすべてだ!
        □ 債権の消滅時効について
        □ お知らせ



 □ やっぱり契約書がすべてだ!
   
 残暑厳しい折、いかがお過ごしですか。
ここ三浦半島の横須賀もいつもの夏とは大分違って、
太陽のギラギラする日は例年の半分くらいでした。
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 さて、今日は日本の慣行と契約書について、少し書きます。
日本ではまだ、業界によって口約束で済ませるところがあるようです。
 つまり、契約書というものを一切作らず、
口頭で依頼を受け、納入しても納入書の控えも作らず、
後で請求書だけを送って支払を請求するという慣行です。
 
 信じられない話ですが、実際に相談を受けた方から聞いた話です。
どうもインターネット関連の企画制作系の業界で、多いみたいなのです。
 ざっくばらんにいうと、いい物を作って売上げアップに繋がれば、
後で相手は喜んで払うだろうみたいなところがあります。

 でも、実にこれは怖い話です。
これだと、もし相手が出来た制作物に不満の場合、後で「契約なんかしてないよ」と、
言われれば、代金を取れない可能性があります。

 契約書がないのですから、裁判でもjまず契約の成立を立証出来ないでしょう。
内容証明郵便で催告すれば、売掛債権の時効の中断になりますが、
契約したことの証拠にはなりません。
 結局、納品した制作物を引き上げるのが、精一杯のところです。
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 なぜこんな慣行があるのだろうか・・・・。
私はよく分かりませんが、とにかくこの業界の慣行だというのです。

 ところで、契約は原則自由とはいえ、
「作品を見て気に入ったら、払って」という契約だったとしたら、
契約そのものがもしかして無効になるのではないか・・・。
 支払いの条件が単に債務者の意思のみに係わる時は、
無効とするという規定が、民法134条にあるからです。

 契約書がないのですから、契約の真意は第三者には全く分かりません。
 逆に、こんな契約でも結構払う人が多いからこそ、
慣行として残っていたという面もあるのかもしれません。
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  しかし、慣行とはいえ、やっぱりリスクが高すぎます。
契約書があれば、少なくとも契約した、しないで争うことはないでしょう。
 支払い期限とか、契約の条件も明確になって、
それだけ裁判になっても勝てる確率は飛躍的に高まります。
 契約書を作るだけでも、債権回収の道が担保されるといってもいいのです。
やはり、契約書は作るべきです。
 口約束だったら、後で契約書にして双方で署名して置きましょう。

 当事務所では、契約書のひな型もお作りします。
 契約書でお困りの方は、是非相談して見て下さい。


 □ 債権の消滅時効について

 債権は権利を行使しないでいると、やがて時効に掛かります。
消滅時効期間というのがあって、それを過ぎるともう法が保護してくれません。
 これを、法格言で、「権利の上に眠る者は保護せず」なと゛といいます。

 ですから、債権を持ったら時効に常に注意して、管理する必要があります。
やっかいなのは、債権の種類によって、この消滅時効期間が違うことです。

 例えば、個人と個人の金の借金などは、10年です。
しかし、消費者金融のローン債権など商事債権になると5年に短縮されます。
 
 以外に短いのが、売掛債権で2年です。
債権の回収に、内容証明郵便とか支払督促がよく使われるのが、これです。
つまり、時効が近づいたと思ったら、時効の中断をして置くために打つわけです。
 しかし、それも2年延長されるだけです。

 交通事故などの損害賠償請求権などは、損害及び加害者を知ってから3年です。

 国税関係で行くと、準確定申告による国税還付金は、5年です。
これは、なくなった人の税金の還付ですが、相続人が申告しない限り還付されません。
うつかり忘れていることがありますので、気を付けましょう。
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 さて、次はかなり例外的な話になります。
まず、消滅時効期間が経過すると、絶対請求出来ないのでしょうか・・・・。
 結論からいうと、そんなことはありません。
民法145条では、当事者が時効を援用しない限り、
裁判所は裁判の基礎に出来ないとしています。

 つまり、時効の利益を主張するのも、放棄するのも当事者の自由なのです。
ですから、請求することは別に問題ないわけで、
払ってもらえるという僥倖が得られることもままあります。
 ただし、時効の援用が明らかな相手に、裁判を起すことは全く不意味です。
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 次に、債務者が消滅時効期間の過ぎたのを知らずに払った場合、
後で時効を援用できるかです。

 判例によると、債務者はもはや信義則上、時効を援用できないとしています。
           (最高裁 昭和41年大法廷判決)

 債権者は時効の利益を放棄したと信じるのが普通なのに、
後になってそれを撤回するのは、信義誠実の原則に反するとしたわけです。

 こんな判決もありますので、債務者の方でも時効期間については、
注意を怠ってはならないのです。
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 自分の債権がどの種類に属し、何年で時効消滅なのかは、
素人がやると独断になり易く、2年なのに3年と思い込んでいたなんて
ことがあります。

 時効は、自分の財産を失うかどうかという大きな問題です。
 少しでも不安があったら、専門家に相談すべきです。


 □ お知らせ

 私のホームページで、内容証明郵便のページを大幅に改定しました。
一番初めに作ったので、内容がかなり淡白でした。

 内容証明郵便による催告と時効中断、内容証明郵便の裁判での証拠的価値、
債権の消滅時効、電子内容証明郵便のメリットなどを、今回重点的に補充しました。
 是非一度ご覧下されば幸いです。
 

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