行政書士もぐもぐ......自分流情報発信  第11号
              平成15年11月2日発行 

            今回の目次
        □ 合法的マルチ商法なんてまずない。
        □インターネット上のねずみ講



  □  合法的マルチ商法なんてまずない。

 マルチとは、マルチ・レベル・マーケティング・システムの略で、
アメリカから1960年代に日本へ入って来ました。
 横文字のネーミングにすると中身の悪質さが薄れるのか、
これが凄い悪徳商法であるという認識が、未だ定着していないところがあります。

 一方、ねずみ講が法律で全面禁止されているのに対して、
マルチ商法は禁止されていません。
 しかし、それをもってマルチ商法は合法と考えるのは、少し早すぎます。
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 理論的には、合法的マルチ商法も考えられないわけではないというだけの話で、
現実的には、特定商取引法の行為規制が非常に厳しい為、
まずほとんどのマルチ商法がそれに違反していると考えた方がいいからです。
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 ところで、特定商取引法では、マルチ商法を連鎖販売取引として規制しています。
「マルチ商法」の他に「マルチまがい商法」というのがありますが、
これらは、どう関係しているのでしょうか・・・・。

 ここで少し定義を、整理をして見ます。

  T マルチ商法・・・・・・・・商品の再販売型
  U マルチまがい商法・・・商品の受託販売型、販売あっせん型、
                同種役務の提供・あっせん型、
    ※ TとUは、ピラミッド式に組織が広がって行くねずみ講的販売方式
      特徴で、これらを総称して、マルチと呼ぶことがある。
  V 横に無限増殖するタイプ・・・・メンバー→特約店→代理店と昇格して行き、
    本部と直結した代理店、代理店の下の特約店が並列的に無限増加する。
  W フランチャイズ・システム・・・・全国本部→地域本部→支部→加盟店
    ※ ただし、現実にはほとんど連鎖販売取引に該当しない。
 
 連鎖販売取引とは、TからWまでを含む広い概念です。
つまり、マルチ商法に当たらないものまでも含めて、脱法を規制しているのです。
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 さて、先にほとんどのマルチ商法は違法だと書きましたが、
それはどういうことなのでしょうか・・・。

 マルチ商法を最も特徴付ける謳い文句は、
リクルートにより多額の利益(コミッション)が入るという点です。
 リクルートとは、新たな加入者を増やすこと、或は配下の者を上のレベルに
昇格させることをいいます。

 マルチ商法に嵌る人というのは、催眠術に掛かりやすい人なのでしょう。
 マルチ商法の業者から、たった4人を加入させれば、後は黙っていてもコミッションが
入るからと勧誘され、成功者の話などを聞かされると、本当の話だと信じ切ってしまい、
ついつい高額な商品を買わされたり、加盟料を払ってしまうのです。

 しかし、リクルートというのは、破綻するのが必然です。
人の数は有限であり、無限に増え続けるわけがないからです。
 実は、下へ下へと無限に会員が増え続けないと、
思うようにコミッションが入って来ないのが、マルチ商法の仕組みなのです。
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 特定商取引法は、業者の不実告知・事実不告知を禁止し、重い罰則(2年以下の
懲役又は300万円以下の罰金又はその併科)を設けています。
 つまり、業者がリクルートに限界があることを告げなければ、事実不告知となり、
また「コミッション料は確実に月40万円になる」などといえば、
それは不実告知
になります。

 マルチ商法の業者が、これを守っていたらまず営業にならないでしょう。
ですから、ほとんどのマルチ商法はこの点で違法なのです。
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 こんな悪徳なマルチ商法による被害は増えており、年一万数千件の苦情相談が
あるそうです(国民生活センター)。
 万一契約してしまったら、書面を貰ってから20日以内なら、クーリング・オフで
解除出来ますし、消費者契約法の「断定的判断の告知」を理由に、
気付いてから6か月以内なら、取消が出来ます。
 また、クレジットを利用している場合は、信販会社に対して支払停止の抗弁を
主張出来ます。
    ※ なお、消費者契約法と取消権については
      http://lantana.parfe.jp/naiyosou008.html を、
      信販会社に対して支払停止の抗弁については
      http://lantana.parfe.jp/kouben.html を、それぞれご参照下さい。


   □インターネット上のねずみ講

 インターネット上のねずみ講としては、次の4タイプが見られます。

  ・電子チェーンメール型・・・例、勧誘メールに4人の氏名と口座番号の記載→
    受信者は4人に1000円ずつ送金し、最上位の氏名を削除した上、
    最下位に自分の氏名と口座番号を記載→リストを多数に送信して送金させる。
  ・サーバーレンタル型・・・年会費と手数料を払うとサーバーがレンタル出来、
    会員を勧誘すると紹介料が入る。実態は会員数を増やすのが狙いのねずみ講。
  ・ホームページ自己増殖型・・・・勧誘のホームページを見て送金し会員になると
    新たなホームページが開設され、今度はそれを見た下位の者から送金されて
    来てという風に、どんどん増殖して行く。
  ・広告ビジネス型・・・バナー広告の掲載者を加盟金や手数料を徴収して、
    どんどん加入者を増やして行く。

 これらは、金銭の拠出があるので、マルチではなくねずみ講になります。
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 これ以外で、「ペンタゴノ」という国際的ねずみ講があります。
収益の一部を「イタリアの文化遺産を守る活動に使う」というのが、謳い文句です。
 私もそれを見た時は、旨い話に思わず引き込まれそうになった記憶があります。

 ねずみ講もマルチ商法も、本部だけが太る極めて悪徳な商法ですから、
くれぐれも気を付けたいものです。

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