行政書士もぐもぐ......自分流情報発信  第19号
             平成16年6月12日発行 

               今回の目次
          □遺言書は作るべきか・・・立つ鳥跡を濁さず
          □ 遺言書の基本知識いろいろ



   □ 遺言書は作るべきか・・・立つ鳥跡を濁さず

 遺言書を作る人は、100人に5人くらいと言われます。
そおすると、100人の人が死亡すると、その遺族の95%は遺産分割協議の方法で
遺産相続をしているということになります。
 つまり、相続人全員で協議し、全員の印鑑をもらって、
銀行口座の解約や不動産登記申請をしているのです。
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 相続人がそれほど多くなく、割と皆近くに居て、日頃から交際もあって、
争いがない場合なら、遺産分割協議手続きも直ぐに終わるでしょう。
 しかし、相続人の1人が遠方にいて、幾ら連絡をしても返事を貰えないとか、
行方不明者がいるといった場合はどうでしょうか・・・・・。

 1人でも相続人の印鑑が貰えないと、
銀行は絶対に口座解約には応じてはくれません。
目の前の銀行や郵便局に遺産の預金がありながら、
遺族には1円も渡らないという事態に、途方に暮れてしまうでしょう。
 最終的には、家庭裁判所を通して、口座解約は可能になるとしても、
そこまでには何と手間と時間が掛かることでしょう。
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 実は、遺言書には、そんな遺族の困惑を回避する効用があるのです。
先の例で言うと、非協力的な相続人や行方不明者を、
最初から外した遺言書を作成するのです。
遺言執行者も遺贈者の誰かに決めて置きます。

 こうして置けば、遺言執行者と遺贈者の印鑑だけで、
口座の解約、登記申請も可能となります。
郵便局の預金に至っては、遺言執行者の印鑑だけで解約出来ます。
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 遺言書があると、口座の解約という最初の関門が楽に突破出来るのです。
このように、遺言書とはまず、
「立つ鳥跡を濁さず」の為に作るものなのです。

 もっとも、遺言書を無理に作る必要などありません。
相続人がいないとか、長年介護してくれた長男の嫁に上げたいとか、
相続人関係が複雑で疎遠な相続人を外したいとか
とかいった事情がある場合に作るべきものであることは言うまでもありません。


    □ 遺言書の基本知識いろいろ

 
遺言書により遺産を贈与することを、遺贈といいます。
遺贈の相手(受遺者)は、推定相続人であってもなくてもいいですし、
全くの赤の他人でも構いません。
ただ、相続人以外に遺贈する場合、相続人には遺留分がありますから、
それを考慮する必要があります。ただし、相続人が兄弟姉妹だけの場合なら、
兄弟姉妹に遺留分はありませんから、その心配は要りません。
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 さて、受遺者が先になくなったら、どうなるのか。
民法で、遺贈の効力は生じないと規定されています。
 つまり、受遺者が相続人以外の場合なら、
受遺者の妻や子が代襲して貰えるわけではないのです。

結局、受遺者が貰えるはずだった財産は、
遺言者の相続人に帰属することになります。
 それを避けたいのであれば、「受遺者が先に死んだ場合は、
その妻又は子に遺贈する」と、遺言書に書いて置けばいいわけです。
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 では、先になくなった受遺者が相続人の場合だったらどうなのか。
公証人実務では、相続人へ遺贈する場合、「遺贈」の言葉は使用せず、
「相続させる」という文言を使います。
 遺言書による遺産分割方法の指定と、見るからです。

さて、指定した相続人が先になくなった場合は、判例によると、
その妻や子が指定分をそのまま貰えるのではなくて、
他の相続人と共同相続することになります。
 ですから、これを回避したければ、やはり「指定の相続人が先に死んだ場合は、
その妻又は子に遺贈する」と、遺言書に書いて置けばいいわけです。
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 しかし、遺言書とは、遺言者の意思で作るものです。
回りの者がとやかく言うべきものではありません。
 遺言書は、いつでも取消しが出来ます。
受遺者が先になくなったら、遺言書を作り直してもいいわけなのです。

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