行政書士もぐもぐ......自分流情報発信  第29号
             平成17年4月27日発行 

            今回の目次
        □ もし相続人がアメリカ人だったら・・・
        □ 遺言執行者から見た公正証書遺言



   □ もし相続人がアメリカ人だったら・・・

 銀行口座の解約、そして相続登記に欠かせない書類に、
戸籍謄本、住民票、印鑑証明書があります。

 しかし、相続人が日本人ばかりとは限らないのは当然です。
でももしアメリカ国籍だったら、その人の戸籍はありません。
また相続人が日本国籍者でも、アメリカ在住者なら住民票がありません。
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 さあ、どうするかです。
 大丈夫です。アメリカには、Notary Publicというのがあって、
そこで在留証明書やサイン証明を作成してくれます。
 サイン証明はNotaryと言いますが、日本の印鑑証明書に代わるものです。
また在留証明書は住民票に代わるものとして、相続登記申請に添付出来ます。

  Notary Publicは、日本の公証人役場に代わるものですが、
日本と違って結構いろんなところに看板を出しているそうです。
銀行、郵便局、会社法務部、コーヒーショップ、文房具店とか・・・・・。
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 次に本人への作成依頼という問題が、別個の問題としてあります。
その前提として住所の調査が必要です。
普段交際のない遠い親戚が多いのですから、
絶対分るという保証はありません。

 このように、外国人、在外邦人が関係している相続は、
霧の中を進むように中々ヒヤヒヤものです。


  □ 遺言執行者から見た公正証書遺言

  日本の公証人というのは、判事とか検事の定年退職者がなりますから、
何となく近寄り難い雰囲気があります。
 先日、公正証書遺言の内容の意味について質問したら、
「君は本人か」と聞くので、「遺言執行者の代理です。委任状があります」と言うと、
「遺言執行者の委任状・・・? そんなのは駄目だ。
遺言書に遺言執行者を第三者に指定出来ると書いてある場合か、
やむを得ない事情がある場合にしか遺言執行者の代理は認められない。
民法にそう書いてある。法律は俺の方が詳しいんだから」と、冷たい返答でした。
 こんな風に、法律を楯にしてバサッと切って来るところがあります。
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 実はこの公正証書遺言では、「マンションは売却し、代金から経費を控除した残金を
アメリカ人某氏に遺贈する」となっていたのです。
なぜ単に遺贈するとしなかったのか、何か理由があるのか、
それが私の知りたいことでした。

 しかし、そんなことを後から、公証人に聞くというのも野暮な話でした。
 私は何を言いたいかというと、この遺言内容では、登記は遺贈登記ではなく、
相続登記になります。相続登記の方が登録免許税は安いという利点はあっても、
法定相続人全員の戸籍謄本、住民票が必要になるという難点があるのです。
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 法定相続人に外国在住者がいると、在留証明書が要ります。
しかもその人が受遺者でなければ、何にも貰えない人に、
在留証明書だけをお願いする羽目になります。

 もし、その人が日頃からほとんど親戚との交際もないような人だったら、
意地悪をされないという保証はどこにもありません。
 手紙を出しても梨のつぶてなら、結局マンションの売却が出来ない
という悲惨な結末になります。
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 公正証書遺言を作る意味のひとつに、
スムースな遺言執行の実現があると私は思っています。
つまり、遺言執行を楽にする為に、
疎遠な相続人を外し受遺者を限定するという考え方もあっていいのです。

 それが立つ鳥跡を濁さずであり、遺言執行者や受遺者に喜ばれる遺言書です。
公証人はそこまでは考えてくれないのです。

ですから、遺言公正証書の原案は遺言執行のことも考えて、
専門家に相談して作るべきなのです。


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