行政書士もぐもぐ......自分流情報発信  第40号
             平成18年5月16日発行 

            今回の目次
        □ 連帯保証人の一部弁済と主債務の時効援用
        □ 連帯保証人の地位を債務者が相続した場合



    □ 連帯保証人の一部弁済と主債務の時効援用

 古い忘れかけた債権について、
サラ金や法律事務所から請求を受けたという相談が時々あります。

 サラ金がなぜ、時効債権を諦めないのかと言えば、
まだまだ時効制度について知らない人が多く、
巧妙なトークによりついつい支払ってしまう債務者や連帯保証人がいるからです。
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 今日は、時効援用の問題について整理して見ます。
まず、サラ金の債権は5年、判決や支払命令などの債務名義は10年で
時効になります。

 債務者が時効後に一部弁済してしまうと、
債務者はもう消滅時効の援用を信義則上出来なくなります。

 しかし、連帯保証人がいる場合は事情が違ってきます。
連帯保証人がサラ金からの督促で時効完成後に一部弁済してしまった場合、
法律関係はどうなるのでしょうか・・・・・。

 まず、一部弁済は、民法第148条の承認になります。

 しかし、この承認の効果は相対的です。つまり、主たる債務には影響しません。
ですから、債務者は堂々と消滅時効の援用が出来ることは言うまでもありません。
                    
 さらには、判例では、連帯保証人は主債務の消滅時効を援用出来るとしています。
(大阪高裁決定平成5年10月4日、東京高裁判決平成7年2月14日)
つまり、連帯保証人の一部弁済は連帯保証債務の時効中断事由になっても、
主債務の時効中断事由ではないということです。
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 つまり、連帯保証人が時効後に一部弁済してしまったとしても、
債務者又は連帯保証人は主債務の消滅時効を援用して債権の消滅を主張出来る
というのですから、サラ金の督促なんて屁みたいなものです。

 連帯保証債務は、主債務に対して附従性があります。
主債務が時効の援用で消滅すれば連帯保証債務も消滅します。

 ですから、連帯保証人の一部弁済により連帯保証債務が承認されたとしても、
債務者又は連帯保証人が主債務の時効を援用すれば、
連帯保証債務もその附従性により消滅するのです。

 結局、連帯保証人による一部弁済の効果は相対的であると知っていれば、
サラ金の請求も、内容証明郵便1本で撃退出来るのです。


   □ 連帯保証人の地位を債務者が相続した場合

 連帯保証人が妻で、債務者が夫とします。
連帯保証人が時効後に一部弁済し、まもなく亡くなった場合、
債務者の夫は連帯保証債務を相続します。
 
 この場合、債務者は主債務の消滅時効を援用しても信義則に反しない
というのが判例です。ですから、夫の債務者は主債務の時効を援用して
連帯保証債務の消滅を主張出来るのです。
 相続放棄をしなくても何ら問題ないわけです。

 このように連帯保証人がうっかりサラ金のトークに騙されて一部弁済を
してしまったとしても、そしてその後に他界してしまったとしても
債務者は何も慌てることはないのです。

 承認には相対的効力しかない。これが今日のキーワードです。

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