行政書士もぐもぐ......自分流情報発信  第53号
             平成19年11月22日発行 

            今回の目次
        □ 内部者取引って何?
        □ 遺言執行妨害で発生した大きな損害



    □ 内部者取引って何?

  内部者取引とは、インサイダー取引ともいいます。
ある上場会社の社員が自分の会社の株式(自社株という)を持っているとして、
株式分割とか株価に影響を与えるような情報(重要事実という)を知るに至ったとします。

 その社員は、会社が重要事実を公開(プレスリリース)した時から12時間経過後でないと、
自社株の取引が出来ません。もし、12時間経過前に自社株の売買をやれば、
インサイダー取引として証券取引法により処罰されることになります。
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 内部者取引というのは、取締役や関係者が一般の株主より先に知った重要情報を
利用して自分だけ儲けようとする行為に他なりません。
また、取引の相手にその情報を知らせないでするのですから、一種の騙しであり、
不公正な取引というべきですし、放置されたら株式市場の信頼を失い兼ねません。
  
 平成17年からは重要情報が軽微な場合でも、課徴金を課すことが可能になりました。
こんなこともあって、各上場企業は、コンプライアンス(法令順守)を強化しているようです。
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 さて、最近で最も目立ったインサイダー取引は、村上ファンド事件です。
村上は重要情報の伝達を受けた者として内部者取引の対象になります。
            参考 → 内部者取引
 
 公判ではインサイダー情報の伝達があったか否かが争点になりましたが、
7月19日の東京地裁は伝達を認定し、一般投資家のなり得ない特別な地位を
利用したプロの犯罪として懲役2年の実刑判決を言い渡しました。

 この事件はライブドアによるニッポン放送株買占めと絡んでいて、
中々分かり難いところがあります。
 判決理由を整理すると、以下の通りです。

 ニッポン放送株買占め(TOBの実施)を勧誘したのは村上で、その気になった
堀江と宮内は買収を準備し、また村上はライブドアの会議の席上でTOBの意思を
聞かされた。
 村上は会議の前から買収の実現を確実と認識し、ファンドは村上の支持により
ニッポン放送株の買い付けを行った。

 村上は保有するニッポン放送株の半分をライブドアに高値で引き取らせて利益を
確定し、重要情報の公表により株価が高騰した後、残りの大半を売り抜いて巨利を得た。
 本件の利益は、フジテレビとライブドアのニッポン放送株の支配権を巡る争いから
漁夫の利を得たものである。村上の買い付け額は類を見ないほど巨額で、
ファンドマネージャーというプロによる犯罪で、犯情自体も悪質である。



     □ 遺言執行妨害で発生した大きな損害

 2年半掛かって遺言執行が完了した案件があります。
こんなに遅れた理由は、相続人のAから妨害があって、
マンションの売却に必要な相続登記が頓挫してしまったからです。

 相続人の一人にアメリカ在留者Bがいて、Bの在留証明書が必要でした。
しかし、AはBと連絡を取り合ってそれを止められてしまったのです。
手紙を出しても返事がなく、4回目が宛所尋ね当らずで返還されて来ました。

 そこで、不在者財産管理人選任を家裁に申立て、審判を貰いました。
これでやっと相続登記が可能となったのです。
ここまで来るのに2年半の月日が流れていました。

 遺言執行の開始早々にマンションの買い手が見付かり、
後は相続登記をすればいい処まで行っていました。
2年半も凍結されることによる損害は大きなものがあります。

 まず、売買価格が200万円も下がっていました。
その他に共益費・水道光熱費等が49万円、固定資産税が19万円、それに
リフォーム費用75万円を遺言執行者が立替えで負担するはめになりました。
 
 Aによる妨害は自分の利益にならないどころか、他の受遺者にこんな
損害を与えたのです。
 遺言執行妨害なんてくれぐれもしないようにしたいものです。



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