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損害賠償はこうやって勝ち取れ!
債務不履行、不法行為、使用者責任、瑕疵担保責任
債務不履行と不法行為の違いは
ブログ 法は自ら助くる者を守る
債務不履行とは、 債務者が債務の本旨に従った履行をしないか又は出来なくなり、それについて債務者に帰責事由(故意・ 過失)があり、かつ不履行が違法である(債務者に同時履行の抗弁権や留置権などの正当事由がない) 場合をいいます(民法415条)。 債務不履行には次の3形態があります。 イ 履行遅滞・・・・履行が可能であるのに履行期を徒過した場合です(民法第412条1項)。 例えば、売買契約に基づく商品の配送が履行期限に遅れたというケースです。 ※ 配送が売主の委託した業者(履行補助者)の過失により遅れた場合でも、売主は履行遅滞 の責任を負うとされます。 <例> 商品が履行期限に遅れて届いた為、販売期間の短縮を余儀なくされ予定より販売利益 がダウンした。 → 予定より減少した利益分が損害賠償の対象。 なお、期限の定めない債務や取立債務その他債権者の協力が必要な債務の場合は、 債権者が催告しないと履行遅滞になりません(民法第412条3項)。 また、不確定期限の債務(例 商品が売れたら金を返すと約束)の場合は、債務者が商品の売れた ことを知った時から履行遅滞となりますが(民法第412条2項)、一般には債務者が期限の到来を知ら なくても債権者が催告すれば履行遅滞になるとされています。 ロ 履行不能・・・・ 契約時は履行可能であったが、その後に履行が不可能(後発的不能)になった場合 です。 履行期に給付することが不可能となった時は履行期を待たずに履行不能となりますし、 履行遅滞中に不可抗力などにより給付が不能になった場合も債務者の履行不能と されます。 ハ 不完全履行・・・・履行はあったものの、給付が不完全な場合です (商品に瑕疵がある、運送方法が 疎漏である、配達時に必要な注意を怠っていた等)。 履行遅滞にも履行不能にも該当しない債務不履行がこれに属します。 |
イ、ロ、ハの効果として損害賠償請求権と契約解除権が発生しますが、その他にイでは強制履行(判決 を取って債務を実現させる)が、ハでは追完請求(修理、再治療、瑕疵のない物などの給付請求)が可能 です。 要するに契約から生じた債務が債務不履行になった場合には、契約を解除しないで(契約に基づく 債務の履行を請求しつつ)損害賠償を請求することも、契約を解除して損害賠償を請求することも債権 者の自由裁量の内なのです。 相手方は債務不履行がないことを立証しない限り責任を免れません。 (例えば、履行不能は自分 の責めに帰せられない事由により発生した) ※1 履行遅滞の一種に定期行為があります。 定期行為とは、ある一定の期日までに履行されないと、契約の目的が達せられないという 場合です。 例えば、渡航日までにビザの申請代行を業者に依頼していたら、間に合わなかったという場合です。 業者の善管注意義務違反による場合には、 催告なしに直ちに契約を解除して損害賠償を請求 出来ます。 ※2 なお、契約で双方に債務が発生し同時履行の抗弁権がある場合、代金支払等のこちら側の 債務を提供しない限り、債務者に不履行があっても履行遅滞の責任は発生しません。 |
これに対して不法行為とは 故意又は過失により他人の権利又は法律上保護された利益を侵害した場合をいいます(民法第709条)。 交通事故が典型例ですが、不法行為は契約のある当事者間でも発生します。 例えば、先のビザ申請代行では、当事者間に委任契約が成立しています。 善管注意義務違反つまり過失により渡航出来ないという損害を発生させたのですから、業者には 不法行為が成立します。 |
このように契約関係があって損害を受けた場合には、債務不履行と不法行為の両方が通常成立 します。 なお、挙証責任では次の違いがあります。 ・不法行為 → 債権者に債務者の故意・過失を立証する責任があります。 ・債務不履行 → 債務者の責に帰すべき事由は、債務者に立証する責任があります。 (つまり債務者は自分に落度でないことを立証しない限り責任を免れません) その他、損害賠償請求権の消滅時効で違いが見られます。 ・債務不履行による損害賠償請求権 →債権成立の時から10年 ・不法行為による損害賠償請求権 →損害及び加害者を知ってから3年、又は発生から20年 |