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                   内容証明郵便でブレイク !    行政書士田中 明事務所

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                <縮こまるな、大いなる志を抱いて道を拓け!>

   
行政書士の後方支援業務の中身

  他人の依頼を受けて債権回収を業としてやれるのは弁護士と認定司法書士とサービサーだけで、行政
書士が債務者に直接電話して督促したり取立てに行ったり示談交渉したりすることは出来ないとされます。 
 尤も、行政書士は内容証明郵便の代理作成により債務の請求が出来ますが、その後の対応について
は本人が主体となってするしかありません。
  ところで、内容証明郵便の作成という行為も債権回収の一部ではないかと私は思うとがあります。   
そして、債権回収と云っても段階があるのであり内容証明郵便を出して本人が何ら督促しなくても任意に
返済してくるケースは結構あるのです。
 最近では過払金の返還請求などがそうで、貸金業法の改正前は訴訟を提起するしかありませんでした
が、今では内容証明郵便で請求すれば返還して来るようになっています。 
  そもそも弁護士や認定司法書士やサービサーの債権回収業務とは何を意味しているのでしょうか。
  債権回収業務は弁護士法72条の「法律事務」に当たりますが、「法律事務」の解釈を巡っては事件性が
必要か否かで議論があるところです。

  下記は事件性必要説に立った見解です。
『・・・・債権の取立ての委任であれば「通常の手段では回収困難」である場合(最高裁小法廷決定
昭和37・10・4)であり
、すでに訴訟に依らなければならないような具体的事情にあって、一の法律事件と
目される事案への介入と認められることによって取締りの対象となるのである。 いわば、その法律事務
には「事件性」とも
いえべき属性が必要とされるというべきである。』 (福原忠雄弁護士)
      ※ 下記をご参照下さい。
  http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/4s2_s2.htm
                     
  最高裁決定にある「通常の手段では回収困難」である場合という表現に引っ掛るものがあります。   
通常の手段で回収できる場合なら弁護士法72条の「法律事務」に当たらず、委任があれば行政書士も
業務として出来ると解釈出来る余地があるように思えます。
  この説に立って債権回収を業として行っている行政書士は今のところまずいないと思います。    
尤も、内容証明郵便による債権回収についてHPに掲載している行政書士は沢山いますが、よくHPを読ん
で見ますと支援とかサポートをしますとなっています。 
つまり、HPの内容のほとんどは本人が自分で債権回収をする場合の留意点を長々と解説しているもので、
自分で全部やるのは無理だという人がいたら、行政書士が後方から精一杯支援致しますからご相談下さい
となっているのです。
                    
  支援とかサポートの中味は何かといえば、要するに内容証明郵便作成に関する相談業務の延長線上に
あるコンサルタント業務なのです。
  まず、行政書士が債権回収に関する依頼を受けたら内容証明郵便を送付して相手方の反応を見るわけ
ですが、払うと連絡があった場合、行政書士が人の委任により代金を受領することは別に問題はないはず
です。  本人の使者として受領しているだけで債権の取立てでも何でもないからです。
  また、相手方から減額や返済猶予の申入れがあった場合、本人の委任を受けて債務返済計画書や債務
承認書を作ることも出来ます。   これは権利義務に関する書類の作成であり行政書士の業務そのものです。
  問題は相手が全く反応して来ず法的手続きを取るしかない場合です。   請求金額がそれほど大きくなく
て弁護士を付けないのなら本人が申立をすることになります。
ここまで来れば行政書士の出来ることは限られて来ますが、法的情報の提供とか証拠の収集その他事実関
係を立証する為の書類(=事実証明に関する書面)の作成は出来ます。
つまり、行政書士が情報の提供や事実証明の書類作成を通じて後方から支援し、本人が主体となって行う
債権回収のお手伝いをするというのが支援とかサポートの中味のようです。 
                                            2011.3.5



                   行政書士田中 明事務所