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悪徳商法に絶対負けない消費者になる方法
商行為なら信義則で対抗せよ!
クレジット会社に対する支払停止の抗弁(抗弁の接続)は、消費者保護の規定である為、
商行為には適用されないとされます。 クーリング・オフの場合も、やっぱりそうです。
商行為とは、事業者(商人)がその営業に利用する目的で取引する場合とか、転売利益を
目的として商品を購入した場合などをいいます。 ただし、営利を目的としていても、
個人的労務の範囲内であれば、商行為とはされません。
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さて、商行為に抗弁の接続が認められないことをいいことに、これを悪用した商法が
ありました。 いわゆる節電器商法です。 30%以上の節電効果があるを謳い文句に、
欠陥商品を買わせるものです。 クレームが目立ち始めたのは、平成10年頃からで、
年商約50億円もあったアイディックは、平成15年にとうとう倒産してしまいました。
その後クレジット会社に対して、損害賠償と未払い代金債務の不存在確認を求める訴訟が
数多く提起されています。
この悪徳節電器商法の被害者は、5万から10万はいるとも言われます。 そして、
倒産後もほとんどの人はクレジット代金を払い続けていたのです。
クレジット契約書には、「商行為専用」と明記され、「割賦販売法の消費者保護の規定の
適用はありません」という文言があります。 契約者は、ほとんどが事業者なのです。
中には、詐欺商法に掛かったことも、全国で訴訟が起されていることも、知らない人が多い
かもしれません。
残念なことです。 これだけの情報化社会になりながら、まだ本当に情報を必要としている人に
届かないということがあるのです。 クレーム情報に接する機会が多い行政書士や弁護士や
司法書士に、情報発信という面でまだまだ問題があるといわねばなりません。
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さて、この節電器商法に引っ掛かった事業者は商行為ゆえに、クレジット代金の支払を
停止することは、やはり絶対無理だったのでしょうか・・・・。
販売店が倒産している現在、既払い代金の返還はかなり難しいとしても、未払い代金だけ
でも拒めるものならと思うのは当然です。
いい判例を見つけました。 アイディックと加盟店契約を結んでいたクレジット会社に対し、
秋田簡裁が、クレジット会社の未払い代金の請求は信義則上許されないと、判示して
いました。 結局、節電器の売買契約を錯誤により無効とし、クレジット会社は
クレームの状況
を知り得たはずとして、支払請求を拒否したのです。
つまり、商行為であっても、販売店が悪徳の場合、信義則により支払停止と同じ結果が
期待出来るのです。
近時では、サインストリーム事件があります。 サインストリームとは、電飾看板のことで、
構造的に欠陥のある商品です。 クレアートという大宮の会社が販売していたが、1年位で
動かなくなり、直してもまた別な箇所が故障するという調子で、最後は運び去って行き、
クレアートはまもなく事業閉鎖して行方不明になってしまいました。 部品は国内で調達が
困難なもので、国内の電気修理業者には修理不能な機械なのです。
契約者は理髪店とか美容院ですが、クレジット会社に対してはサインストリートが欠陥商品
であると知り得たはずであるとして信義則により支払いを拒否出来る事案です。
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