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                   内容証明郵便でブレイク !        行政書士田中 明事務所

                 
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                <悪徳商法に絶対負けない消費者になる方法>

  連帯保証人を奴隷扱いする破産法        参考 →泣かない連帯保証人になる方法

  破産法での連帯保証人の取り扱いは、まことに悲惨なものです。 民法の原則では、
連帯保証債務は主債務に対し附従性があります。  つまり、主債務が消滅すれば、
連帯保証債務も消滅します。
  しかし、民法の特別法である破産法では、主債務者が免責になっても、免責の効果は
連帯保証人に及ばないとされているのです。

  どういうことかと云いますと、主債務者が免責により債務を免れても、連帯保証人は
連帯保証債務を免れないということです。 しかも、連帯保証人が主債務者の免責後に
弁済しても主債務者に求償権を持たないのです。
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  考えて見るとこれは恐ろしい事態です。 連帯保証人というのは、主債務者から
「迷惑を掛けないから」とか「形式的なものだから大丈夫」などと懇願されて、情義的に
しぶしぶ連帯保証人になることが多いのです。
  債権者の方も債務者の経済状態とか連帯保証契約の内容など全く説明せず、電話で
簡単な意思確認をするだけです。

 連帯保証人になる人というのは、将来自分が責任を被るかもしれないなんて想像もし
ていないのが普通なのです。 もし連帯保証人の重さを分かっていたら断わる筈です。 
ですから、連帯保証人にはそれが知られないよう曖昧にして、つまり半ば騙して連帯
保証人にさせているというのが実態なのです。
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  債権者は契約の時にそんないい加減な形で締結しておいて、いざ主債務者が免責に
なれば、連帯保証人に請求して来ます。  そして、裁判を提起されると連帯保証人の
署名と印鑑から保証意思が推定される為、連帯保証人が勝つのが容易でないという
まことに悲惨な事態になります。

  近時では、契約から半年後位に主債務者が破産した場合、連帯保証人に動機の錯誤
があったとして連帯保証契約を無効とする判決もありますが、こんな僥倖を受けられるのは、
ほんの一部の連帯保証人に限られます。

  連帯保証制度そのものがおかしい上、破産法ではさらに拍車が掛かっています。 連帯
保証人になったからといって何の利益も得ていない人に、つまり無償の慈善行為で半ば
騙されて連帯保証人になった人に、求償権も奪って主債務者の全責任を被せてしまうと
いう破産法の立場は、連帯保証人をほとんど奴隷の扱いと言っても過言ではありません。

 これは、憲法の平等の原則、民法の公平の原則・信義則に反すると、私は考えますが
如何なものでしょうか。



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