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会社解散と連帯保証人による主債務の時効援用
まず、会社の「解散」は、以下の場合に発生します。
1 任意解散
イ 定款で定めた存続期間の終了 ロ 定款に定めた解散事由の発生
ハ 株主総会の特別決議 ニ 合併 (吸収合併)
2 強制解散
イ 破産手続開始の決定 ロ 解散を命ずる裁判
ハ 休眠会社のみなし解散 (最終登記日から12年経過)
ニ 銀行法、保険業法上の解散原因の発生
ホ 法務局登記官の職権による解散
例 旧商法で資本金が1000万円を満たさない場合
主債務者の会社が倒産したり解散したりすると、銀行や信用保証協会から連帯保証人
に請求が来ます。
もし主債務者が5年以上弁済せず判決もない場合には、連帯保証人は時効援用を検討
することになります。
連帯保証人が主債務者の消滅時効を援用するにあたって大前提となるのは、会社が
存在していること(法人格を有すること)です。
法人格は会社が解散しただけでは消滅しません。 ですから、法人登記簿に「解散」
の記載があってもまだ時効援用は可能なのです。
では、法人格が消滅するのは何時なのでしょう。
判例に拠りますと、
「破産管財人が選任されると破産管財人が清算手続きを進めるが、同時廃止の決定を受
けた場合は清算未了の状態のまま残ることとなる。 清算事務の終了後、決算報告
書の作成と株主総会におけるその承認により清算は結了し、当該株式会社の法人
格が消滅すると解するのが相当である」 (名古屋高裁平成21年6月30日判決)
→判決全文
同判決の会社は、裁判所から同時廃止決定を受けて強制解散となったケースです。
しかし、清算事務が終了していないので、法人格は消滅していないと云っているのです。
会社清算とは、会社の解散に伴いそれまでの法律的・経済的関係を整理する手続きを
いいます。
ところで、解散した中小零細企業でこの清算手続きまで行っている会社がどれ程あるか
です。
清算手続きをしなくても罰則はありません。 まして倒産した会社にはその費用も
残されていないのが通常です。
当事務所で受けた相談案件でも、破産手続きをしないで事務所を閉鎖したままになって
いるというのが断然多いのです。
ですから、主債務の会社の法人格が消滅していないとすれば、連帯保証人が時効援用
する為の大前提はクリアされることになります。
後は判決がないかですが、会社が閉鎖されますと代表取締役が行方不明になることが
多く、債権者が主債務者に対し裁判を起こそうにも出来ません。
その一方、連帯保証人に対しては一部弁済をさせるということが多く見られ、裁判まで
起こすのは余りないようです。
一部弁済は相対的効力しかなく、主債務の時効を中断しません。
判決以外の時効中断事由については、以下のチェックリストをご参照下さい。
http://lantana.parfe.jp/gikou-2.htm
このように、現行法下で連帯保証人を救済できる唯一の方法と云える時効援用は、
意外と活用の余地が残されているのです。
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